「最低でも県外」からの方針転換が
なぜ“公約違反”ではないのか

 5月4日、鳩山由紀夫首相は、首相になって初めて沖縄を訪問した。そこで首相は、仲井真弘多沖縄県知事らに、普天間飛行場の移設先として「沖縄県内」の受入れを要請した。また、基地機能の一部の移設先として徳之島も検討していることを認めた。

 これは、昨年の総選挙で「最低でも県外」としてきた首相の重大な方針転換であり、明らかな公約違反である。

 だが、公約違反の声に対して、首相は公約違反ではないと主張した。

 すなわち、「最低でも県外」という発言は、「党の考え方ではなく、私自身の代表としての発言だ」として責任を逃げたのだ。

 おそらく、この釈明を考えて何ヵ月も要したのだろう。

 しかし、有権者側から見て、党首の公約は党の公約よりはるかに重い。党首の発言は、党の公約を修正するほど大きな影響力を持っているのだ。それに当時、この鳩山代表発言に関して民主党内から大きな反論もなく、議論もなかった。どう考えても、「最低でも県外」は政権の公約である。

 もし、首相のこの釈明を受け入れれば、今後の首相発言は全く信用できなくなるではないか。

平野官房長官は“いけにえ”?
自分の迷走を閣僚に責任転嫁

 もう1つ気になるのは、首相が普天間問題の迷走を関係閣僚の責任に転嫁しようとしているように見えること。

 特に平野博文官房長官が“いけにえ”にされようとしている印象を受ける。