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「拡張現実」を操る謎のベンチャーが
巨額資金を集めた理由

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第364回】 2015年10月27日
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現実世界にバーチャルな映像が飛び込んでくるのがAR(拡張現実)の特徴(マジック・リープが先頃公開したビデオ。www.magicleap.com/より)

巨額の投資を受ける
ベールに包まれたベンチャー企業

 2011年創設。グーグルなどがこれまで5億9200万ドルを投資してきたスタートアップ「マジック・リープ」が、さらに10億ドルの資金を調達する見込みという。ただ、マジック・リープは大型資金が投入されているのにもかかわらず、未だステルスモードで秘密裏のうちに開発が進められている。うわさばかりが大きくなる会社だ。

 マジック・リープは、オーグメンティッドリアリティ(AR=拡張現実)技術を開発中とされている。ARは、一般的にはバーチャルリアリティ(VR=仮想現実)の先をいく技術とされるものである。

 現在、フェイスブックが買収したオキュラス・リフトやソニーのプレイステーションVR、サムソンのギアVR、マイクロソフトのホロレンズなど、VRが体験できるゴーグルが目白押しだ。こうしたゴーグルでは、コンピュータゲームはもちろんのこと、映画や特殊なコンテンツが、まるで自分がその中にいるようにして味わえるのが魅力だ。エンターテインメントだけでなく、不動産のバーチャル体験など、ビジネス面での利用も目されるなど、「ネクスト・ビッグ・シング」として期待されている。

 ところが、バーチャル世界をリアルに体験できるVRにも限界がある。ぴったりとゴーグルを付けて、外界を遮断しなければならないという不便さや不自然さがそのひとつ。もうひとつは、視覚と脳の中だけで動くVRの身体への影響である。VRは、視覚のトリックを利用して、まるでそこにいるかのような錯覚を与えるが、そのトリックは人間の身体感覚を盛り込んでいない。そのため、VRを使いすぎるとめまいなどの症状が起こることも多いという。

 ARがVRの先を行くというのは、そうした隔絶感や身体にとっての不自然さがないからだ。ゴーグルは着けるが、目の前に広がるのは現実の世界。そこにレイヤーされてバーチャルの世界が繰り広げられるというのが、ARなのである。

 さて、前置きが長くなったが、マジック・リープはメガネやゴーグルなど、装着型の装置で体験できるAR技術を開発中で、それも独自チップを設計するところから行っているという。同社はその製造のための新しいキャンパスをフロリダに建設し、大型の調達資金もこうしたハードウェアへの取り組みに投入されていると見られている。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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