8月選考は不評だった
学生も企業も疑心暗鬼で疲弊
経団連が、昨年改訂した大学新卒者の採用活動のルールを今年、早くも変更し、選考活動解禁を6月とする意向だという。
昨年の改訂は、それまでの「大学3年の12月時に会社説明会の解禁、4年生4月に面接などの選考活動解禁」という旧選考スケジュールが、大学での学業に支障を来すことを理由として、「3年の3月(4年になる直前)に説明会解禁、8月に選考活動解禁」の現スケジュールへと大幅に後ろ倒ししたものだった。
いずれの場合も、正式な採用内定を出すのは10月からということになっているが、選考活動の解禁と共に、学生には限りなく内定に近い「内々定」が出始めることが多いので、選考活動の解禁時点が就職活動の一つのピークになる。
しかし、3月から企業と学生の接触が始まり、8月からやっと正式な選考活動が解禁されるというスケジュールは、実質的な就職活動期間の長期化をもたらした。学生も企業の採用担当者もくたびれるのと同時に、学生側では「会社の採用活動は“実質的に”どこまで進んでいるのだろうか」、採用側では「内々定を出した学生は、本当に確保できているのか」という疑心暗鬼が共に生じ、精神的に疲弊した。
企業側はともかく、社会経験が乏しく、立場が弱い学生の側は特に気の毒だった。学生の立場からすると、自分が受けている会社、他の会社が、どれくらい採用を決めたのかが分からない期間が長い。また、就職活動のピークが真夏にかかることもあって、長くてくたびれる就職活動だった。数年前のような「就職氷河期」よりも本質的にはマシだが、真夏にスーツで右往左往する「熱帯就活」の不快指数は高かったようだ。