2010年4月26日(月)。東京・虎ノ門。その日、世界初のEV(電気自動車)タクシーの船出を直前に控えて、来賓挨拶が続いた。

 環境省・環境大臣政務官・大谷信盛氏 「地球温暖化対策基本法が国会で審議中でもあり…、CO2削減に寄与するので…、応援する」と祝辞を述べた。

 続いて、衆議院議員・茂木としみつ氏 「東京のEVタクシー、CO2削減を目指す世界に対する日本のソリューションの発信となる…」と祝辞を述べた。

 そして3人目。三菱重工業取締役副社長執行役員・福江一郎氏 「皆さん、こんにちは。さて、なぜ三菱重工? それは後に説明しますが…」と前置きをして、しばし祝辞が続いた。だがその直後、かなり「ドギツイ発言」が飛び出した。

 「今回、(EVタクシーの)バッテリー交換式の実証試験を行ううえで、様々な障害があった。大手自動車メーカーは必ずしもバッテリー交換型を快しとは思っていない。これまで三菱重工とベタープレイスはいろいろな大手自動車メーカーにバッテリー交換型(に対応する量産型電気自動車)をつくってもらおうとしたが、難しかった。将来はバッテリー(パックとしての)標準化を進めて、リース事業を考えたい。また大容量の電力貯蔵としてスマートグリッドの重要な構成要素としても注目している。また来年早々、弊社バス(=三菱ふそうのバス)でも、都市バスとしてバッテリー交換型の実証試験を始める。今後は、三菱重工とベタープレイスが(電気自動車業界の)『十字軍』となって、バッテリー交換型の普及につとめたい」。

 欧米メディアも多数詰め掛けたマスコミ向け発表会で、よくぞここまでズバっと言い切ったものだ。これはまさしく、東京電力が規格推進し日系大手自動車メーカーが同調している急速充電器の協議会「CHAdeMO」に対する公開挑戦状である。その後、筆者を含む経済メディア等数人との囲み取材時に同氏は「急速充電は蓄電池の寿命を短くするのが問題だ」と語り、バッテリー交換式推進派としての立場をさらに強調した。