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東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命
【第36回】 2015年11月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
広瀬 隆 [ノンフィクション作家]

3人の元総理は、
なぜ「脱原発」に転向したのか?
――吉原毅×広瀬隆対談【最終回】

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『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。
本連載シリーズ記事も累計278万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者と、城南信用金庫の前理事長で「反原発」をかかげ、小泉純一郎元首相からも信頼の厚い吉原毅(よしわら・つよし)氏が初対談!
吉原氏の著書『原発ゼロで日本経済は再生する』のオビには、ベストセラー『デフレの正体』や『里山資本主義』著者の藻谷浩介氏が、「経済人ならわかる、原発は採算割れだと。だがそう語れる真の経営者は吉原さんだけだ」とある。
吉原氏は慶應義塾大学出身のエリート金融マンだと思っていたら、それだけではなかった!
従来の金融マン像とは似ても似つかない、歯に衣着せぬ物言いで政府や東京電力へ迫る。
フクシマ原発事故後、城南信用金庫は東京電力と縁を切り、信金内の電力をガス会社主体の「エネット」というPPSへ切り換え、1000万円以上の節減に成功。大きな話題を呼んだ。
これこそ、ほんとうの“ラストバンカー”ではないか。
そんな折、8月11日の川内原発1号機に端を発し、10月15日の川内原発2号機が再稼働。そして、愛媛県の中村時広知事も伊方原発の再稼働にGOサインを出した。
再稼働後、豪雨による鬼怒川決壊、東京で震度5弱、阿蘇山噴火、南米チリ沖マグニチュード8.3地震、アフガニスタン北部のマグニチュード7.5地震など、今なお自然災害が続出している。
本誌でもこれまで、35回に分けて安倍晋三政権や各県知事、および各電力会社社長の固有名詞をあげて徹底追及してきた。
地元の7割が伊方原発再稼働反対の民意を受け、「愛媛新聞」も再稼働反対の社説を展開。だが、大手マスコミはこの事実を報道せず、着々と再稼働が進められていく。
いったい民意はどこにあるのか? いよいよ気鋭の論客同士の対談最終回をお届けする。
(構成:橋本淳司)

脱原発に転向した
3人の元首相

広瀬 隆
(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。

広瀬 私たちはこれからも吉原さんはじめ、城南信金のみなさんがどんどん表に出て発言してくださることを、とても期待しています。金融機関ですから、心強い味方です。

 吉原さんは今年6月に理事長を退任されましたが、今の役職は何ですか?

吉原 「城南信用金庫相談役」であり「城南総合研究所所長」。「所長」兼「小使い」です(笑)。

広瀬 たしか、元首相の小泉純一郎さんが「名誉所長」ですよね。

吉原 はい、小泉純一郎さん『東京が壊滅する日』を読んでいます。「素晴らしい本だ」とおっしゃっていました。
『二酸化炭素温暖化説の崩壊』(集英社新書)も含めて、かなり広瀬さんの本を熟読されていますよ。

広瀬 私は過去に小泉さんの悪口をいっぱい書いているので、会いにくいのですが(笑)。

吉原 小泉さんは常々、「民主主義だからいろんな意見があっていい」と言っています。いちいち感情的にならずに、自分の意見は堂々と言う。「他人が反対意見を言ったからといってつぶしてはいけない」と。

広瀬 うれしいことに、私が批判してきた総理候補と、歴代首相3人が次々反原発に変わってくれました。
 小沢一郎、細川護煕、小泉純一郎、菅直人の4人を批判してきましたが、現在は4人とも私たちの味方ですからね。この変化が大事な進歩だと思います。安倍晋三は退歩だけ!!

吉原 毅
(Tsuyoshi Yoshiwara)
1955年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、城南信用金庫に入職。1996年、41歳で常務理事となり、2010年、理事長に就任。ともに助け合う協同組織である信用金庫の原点回帰を打ち出し、理事長の年収を支店長の平均以下である1200万円、全役員の定年60歳、現場による経営計画の策定など、異色の改革を行っている。2011年4月1日には「原発に頼らない安心できる社会へ」を発表。職員による被災地支援も続けている。著書に『原発ゼロで日本経済は再生する』(KADOKAWA)『信用金庫の力――人をつなぐ、守る』(岩波書店)、『城南信用金庫の「脱原発」宣言』(クレヨンハウス)がある。

吉原 私は一般の方を対象に脱原発をテーマに講演をしています。
 女性には原発反対の人が多いのですが、大学生などの若い男性、働き盛りのビジネスマンや経営者を中心に「原発は必要」という声がまだあります。
 その理由を聞くと、「原発がなくなると経済が悪化し、文化的な生活は維持できない」とか、「景気が悪くなって就職できなくなり、仕事がなくなる」など、誤解をしている人がいっぱいいます。

広瀬 原発を止めるためには、その人たちにこそ正しい知識を持ってもらう必要があります。
 私が吉原さんに講演をお願いしてきたのは、そうした原発推進論者を、吉原さんが経済的な面から正しく説得して、原発無用という結論を信じてくれるようになるからです。

 今、愛媛県の伊方原発の再稼働問題がクローズアップされていますが、地元紙「愛媛新聞」の世論調査では、うれしいことに県民の7割が反対しています。
 今年の10月9日に愛媛県議会が再稼働に賛成しましたが、「愛媛新聞」は社説で、「この県議会の決議はなんの意味もない」
とはっきり書いていました。

 でも、残り3割が反対してくれればもっと大きな力になります。再稼働反対を8割から9割に増やしましょう。できますよ。
 推進論者は、ほとんどが経済的な理由ですから、「原発ゼロのほうが自分に利益が出る」とわかれば、私たちの味方になってくれます。そのためには、誤解している人、無関心な人に正しい知識を持ってもらいたい。

 そういう意味で吉原さんは、我々にとって異色のスターです。稲盛和夫さんが浜岡原発反対署名に参加してくれましたけど、先頭に立って実践活動をしてくれた企業人は、吉原さんが初めてですから。

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広瀬 隆 [ノンフィクション作家]

1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図で衝撃的な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯―ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『二酸化炭素温暖化説の崩壊』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』『原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論』など著書多数。


東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図で衝撃的な事実を提供し続けるノンフィクション作家の広瀬隆。『東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命』は壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた大作。51の【系図・図表と写真のリスト】と公刊された科学的データで誰も知らなかった真実を掲載。本連載では、本書周辺の原発再稼働をめぐる問題や、今そこにある危機を紹介する。

「東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命」

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