軽減税率をめぐって
自民党・財務省vs.官邸の暗闘
軽減税率をめぐる自民党と公明党の議論が迷走していて、端から見ていると、きわめて興味深い。
まず、自民党の背後には財務省、公明党の背後には官邸がいる。この組み合わせを押さえておきたい。
そして、財務省の望みは2017年4月から10%への消費再増税を行うことであり、官邸は消費再増税をできれば回避、それができないなら悪影響がないようにしたいと思っている。
また、表では決して言わないが、財務省は、選挙で政権を潰してでも消費再増税をしたいと思っているだろう。官邸は、選挙で負ければ政治家はただの人になるので、是が非でも勝ちたい。そのためには、国民生活に影響のある消費再増税に慎重になるわけだ。
官邸のスタンスをポピュリズムであるとは言い切れない。経済に打撃を与える経済政策は何のためであるかさっぱりわからない、財務省の増税至上主義は、経済を無視した間違った経済政策であるとも言える。
実際、2014年4月からの8%への消費増税は、経済を失墜させたという意味で失敗であった。しかも、消費増税に賛成した多くのエコノミストや経済学者は財務省の言いなりで、その影響は軽微であると経済見通しをまったく誤ってしまった。これではエコノミストや経済学者として失格で、もはや誰も信用していない。
こうした背景から、自民党・財務省にとって2017年4月の消費再増税は当然の前提であり、軽減税率での減収額をできるだけ少なく、つまり、再増税での予定税収を高くしたい。公明党・官邸は、その逆で軽減税率での減収額は大きくなってもいい。
そこで、自民党・財務省は、エコノミストや経済学者の応援を再び求めているようだ。