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音楽産業の“崩壊説”を覆す意外な真実
CD生産半減でも総市場は伸び続けている?

2010年5月24日
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 「お気に入りの楽曲をiPodで楽しもう!」

 ここは、東京都中野区にある音楽・映像ソフトのレンタルショップ。店内の邦楽アーティストの棚には、こんな垂れ幕がかかっている。この店は私鉄の急行停車駅が最寄りとなっており、幹線道路にも面しているため、いつも客足が多い。

 週末ともなれば、目当ての音楽CDや映画のDVDを探しに来るお客でごった返す。「新作アルバムを5本借りればパックで1000円」とお手頃な価格設定のため、音楽CDを一度にたくさん借り、iPodのような携帯音楽プレーヤーにインポートして楽しむ音楽ファンも多いという。

 この光景、我々にとってはよく見かける日常の1コマに過ぎない。だが、レコード会社の社員に言わせれば、「不安を覚える光景」なのだという。ある中堅レコード会社で働くディレクターは、こう語る。

 「音楽CDのレンタルショップは、“貸与権”という著作権保護の枠組みの中で営業しています。発売から1年以内の作品のみ原盤制作者やアーティストの許諾を得る必要がありますが、大部分の作品については、利用料さえ支払えばいくらでもレンタルは自由。お客集めの方法だって、何の制約もありません。だからと言って、携帯音楽プレーヤーの宣伝までしなくても・・・・・・。ビジネスだから当然なのはわかりますが、音楽不況に悩む身内同士として、どうも割り切れませんね」

本格的なデジタル化をもたらした
音楽配信と携帯音楽プレーヤーの衝撃

 このディレクターが不安視する「音楽不況」については、改めて説明するまでもないだろう。ミリオンヒット・シングルが続出した1998年をピークに、音楽CDの売り上げは年々減少の一途を辿っている。

 たとえば、2000年と09年を比べた場合、CD、アナログ、カセットテープを合算したオーディオレコードの総生産金額は、約5400億円から約2500億円へとまさに“半減”してしまった。総生産数量も、約4.3億枚から約2.1億枚まで激減している。

 なぜここまでCD市場が縮小しているのか? その原因となったのは、2000年前後から音楽業界に押し寄せ始めた「本格的なデジタル化の波」と言われている。

 音楽産業におけるデジタル化の走りと言えば、80年代にCDが登場したことだろう。だが、昨今のデジタル化の波は、過去とは比べものにならないほどのインパクトを業界にもたらしている。その象徴が、「音楽配信」という新たな大市場の出現だ。

 音楽配信の隆盛に伴い、CDなどの既存メディアを介さずに、PCや携帯電話から楽曲を購入するユーザーが急増したのだ。特に、90年代後半から爆発的に普及した携帯電話によるダウンロード需要が、その流れを決定づけた。

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