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岸博幸の政策ウォッチ

「一億総活躍緊急対策」は問題ばかり

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第21回】 2015年11月27日
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 11月26日(木)に内閣改造後の安倍政権の初の経済対策である“一億総活躍社会緊急対策”が発表されました。原稿の締め切りとの関係で、まだ本体を入手して詳細を分析した訳ではありませんが、対策に関する報道を読む限りでも多くの問題点が目についてしまいます。

「家計支援」がメインの対策に抱く不安

“一億総活躍社会緊急対策”という名称にもかかわらず、中身は家計支援がメインに…

 まず違和感を持つのは、“一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策”というタイトルです。“一億総活躍”というのは、その意味からして中長期的に実現すべき課題です。一方、“緊急対策”というのは、通常は喫緊の課題に対応する短期的な政策を意味するはずです。

 つまり、このタイトルは中長期を意味する言葉と短期を意味する言葉を安直に並べただけで、厳密には論理矛盾です。まあ、対策の中身もタイトルどおりに短期的な政策と中長期的な政策がごっちゃまぜになっていますので、名は体を表していると言えますが、しかし、この手の文書のタイトルは、本来は政策が目指す方向性や政権の意思が反映されるべきなのに、それもできていないのでは最初から不安になってしまいます。

 そして、対策の中身を見ても、その不安どおりの中身と言わざるを得ません。まず感じるのは、列挙されている政策メニューが、

・低年金受給者への給付金の支給
・住宅購入負担の軽減
・最低賃金の引き上げ
・保育所の整備
・産後の女性の国民年金保険料免除
・特養ホームなどの整備
・介護休業給付金の引き上げ

 と、結局は家計支援がメインになっているということです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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