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岸博幸の政策ウォッチ

「新3本の矢」をあえて前向きに評価してみる

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第18回】 2015年10月2日
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すごく不評な「新3本の矢」

安倍内閣のこれからの経済運営の行方は、「新3本の矢」からも占うことができそうだ

 10月7日(水)に内閣改造が行なわれますが、安保法案が終わった後は経済と安倍首相が明言していたくらいですので、安倍改造内閣の最重要課題は再び経済になります。

 そこでどのような経済運営が行なわれるかのヒントは、安倍首相が表明した「新3本の矢」にあります。これまでのアベノミクスでの3本の矢(金融緩和、財政出動、成長戦略)に代わり、アベノミクスの第2ステージとして、

 第1の矢「希望を生み出す強い経済」(名目GDP600兆円の達成)
 第2の矢「夢をつむぐ子育て支援」(希望出生率1.8の実現)
 第3の矢「安心につながる社会保障」(介護離職ゼロの実現)

 から成る「新3本の矢」を放つと宣言しています。

 しかし、この「新3本の矢」はメディアや評論家のみならず、安倍首相を支える立場にある霞ヶ関や自民党からも概して不評です。そこでの主立った批判は、

・ 政策の目標を言っているだけで、3本の“矢”ではなく3本の“的”である
・ それらの的を実現するための具体的な政策がまったく示されていない
・ GDP600兆や出生率1.8という目標は既に政府が公表しており、何の新味もない

 といった点に集約されます。

前向きに評価できる点はある

 しかし、批判ばかりしていてもしょうがないので、ここでは「新3本の矢」を敢えてポジティブに評価してみましょう。

 おそらくもっとも前向きに評価できるのは、旧3本の矢が経済のパイの拡大(デフレ脱却と成長率引き上げ)のみを目指すものであったのに対して、新3本の矢は、パイの拡大とパイの適切な分配(所得再分配)の双方を目指すことを明確にした、という点ではないかと思います。

 経済政策の考え方として、最初から国民全員の暮らしを良くすることはできないので、まずはマクロ経済運営により経済全体を良くして、その次に社会保障などの所得再分配政策を通じて国民全員の暮らしを良くしていく、という順番にならざるを得ません。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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