中国が11月30日に国際通貨基金(IMF)執行理事会で、人民元を特別引き出し権(SDR)の貨幣バスケットに組み入れると決定したことについては、12月4日までの一週間でかなり報道された。

 30日午前に行われたブリーフィングで、中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁はSDRに組み入れたからといって、元安を心配する必要はなく、基本為替レートは今後も変化しないと述べ、一般市民がもっとも関心を寄せている問題に答えた。

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 その日に、易綱氏は具体的に「人民元のSDR入りに対するIMFの評価に元安の問題は言及されなかった。中国経済は中高速で成長し、その成長の勢いには変わりがなく、貨物の貿易にも比較的大きな黒字が存在するうえ、海外からの直接投資及び中国の対外直接投資も増加しつつ、外貨準備も非常に充実している。こうした要素は、人民元が継続的に安値になる基盤が存在していないことを決定づけている」と語った。

 これに先立って同氏は、人民元のSDR入りで資本流出が加速されるという市場の懸念について、人民元の国際準備貨幣地位の引き上げは越境資金流動の増加を必ず導きだすが、このような越境資金流動は双方向で、流出の要素があるなら、流入の要素もあるに相違ないと応じた。

「その流入と流出の効果を十分に考慮しなければならない。もし政策がきちんと設計されれば、流入(を導く)と流出(を導く)の政策をバランス良く打ち出し、流出と流入をほぼ帳消しにし、少なくとも大部分を帳消しできる」

 易綱氏は「可能な限り」、中国は市場供給関係の決定的な役割を尊重するが、仮に人民元の為替レートの変化が一定の幅を超えた場合や、国際収支に異常が起こった場合には、中国中央銀行がやはり適時に介入すると説明した。

 人民元のSDR通貨バスケット構成比率が10.92%で、ドル41.73%、ユーロ30.93%につぎ第3位にあり、人民元の後は、円8.33%、ポンド8.09%となることは日本のメディアにも報道されているが、「人民元のSDR加入を歓迎し、中国が金融システムの改革に努力するよう希望する」という麻生太郎財務大臣によるコメントも中国メディアは注目した。