人事抗争のみならず、整備の人材が不足するなど足元もおぼつかないエアアジア・ジャパン。予定通り来年4月に就航できるか不透明だ

 衝撃的な人事だった。LCC(格安航空会社)のエアアジア・ジャパンの代表取締役会長に、経営破綻したスカイマークの会長だった井手隆司氏が就任、CFO(最高財務責任者)に同社で社長を務めていた有森正和氏が就いたのだ。9月29日にスカイマークの役職を退任したばかりにもかかわらずだ。

 この就任劇には、もう一つの人事が大きく絡んでいる。同じ日に全日本空輸(ANA)出身の小田切義憲社長に代わり、秦修氏がCEO(最高経営責任者)に収まったのだが、その裏には激しい内部抗争があった。

 一部の勢力が、小田切氏は国土交通省に対して主張せず、言いなりになっているとして反発。その結果、社内が真っ二つに分裂し、小田切氏が退任に追い込まれたというのだ。

 しかし秦氏は、IT企業のデル出身で航空会社の経営は門外漢。そこで、格安航空会社を経営した実績があった井手氏らをスカウトしたというわけだ。

4月に就航は無理!?

 ゴタゴタしているのは人事だけではない。来年4月に就航する方針を掲げるが、それも間に合いそうにないのだ。

 そもそもエアアジアは、今年夏にも就航する予定だった。だが、社内の体制づくりに手間取り、就航に当たって最も重要な航空運送事業許可(AOC)の申請が間に合わなかった。