8月5日の債権者集会では、ANAホールディングスをスポンサーとするスカイマーク案が可決された Photo by Ayako Suga

スカイマークの債権者集会は、ANAホールディングス陣営の逆転勝利で幕を閉じた。ANAは安くない“代償”を払ったようだが、なぜそこまでしてスポンサーになったのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

 うだるような暑さに見舞われた8月5日。民事再生手続き中のスカイマークの債権者集会が、午後1時半すぎから東京地方裁判所で行われた。

 この日を迎えるまで、ANAホールディングスをスポンサーとするスカイマークの再生計画案に対し、大口債権者である米イントレピッドが米デルタ航空をスポンサーに担ぎ出して対抗案を提出するなど、極めて異例の展開となっていただけに、債権者集会の行方は業界のみならず世間の関心を集めていた。

 債権者集会で認められるには、債権額と債権者の頭数、双方で過半数が必要。債権額で約38%を握っていたことに加え、取引先の多いデルタを味方に巻き込んだことで、「イントレピッド有利」との見方がもっぱらだった。

 ところがである。ふたを開けてみればANA-スカイマーク陣営の圧勝。債権者174人中135.5人、債権額でも60.25%の賛成を取り付けたのだ。

 ぎりぎりまで態度を明らかにせず、勝敗の鍵を握っていた大口債権者の欧州エアバス、英ロールス・ロイス、米リース会社CIT3社の取り込みに成功し、大逆転を果たした。

 投票後、票の読み上げが終わるまでの時間はわずか15分。その間、スカイマークの取締役を17年間務めた井手隆司会長は、「これまでの出来事が走馬灯のように浮かんだ」と言う。