「ただいま。カムバック!」(トニー・フェルナンデス・エアアジアCEO)。アジアの空を席巻したLCC(格安航空会社)のエアアジアは、全日本空輸(ANA)と組んでエアアジア・ジャパンを設立し、2012年8月に日本国内で就航したが、反りが合わず、程なく合弁を解消した。
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今回は、そのリベンジを狙っての再参入である。
日本の航空法では、外資の出資比率に制限があり、日本でエアアジアが航空事業を再開するには、新たなパートナーが必要だった。
今年2月には、フェルナンデスCEO自身がツイッターに、三木谷浩史・楽天会長兼社長との親しげな会食風景を掲載するなど、以前から、楽天がエアアジアの有力なパートナー候補とみられてきた。今回、楽天が18%出資するほか、化粧品のノエビアホールディングスが9%、スポーツ用品のアルペンが5%出資する。
三木谷社長は、「航空事業のことは分からない。餅は餅屋に任せる」と、今回は主導権争いでもめることはなさそう。「IT企業が航空会社に出資するのは世界でも初めてではないか。トニーと話して分かったが、航空事業は機内販売や支払いなどITとのシナジーが高い。楽天の電子書籍koboを使ってもらうこともできる。アジアを中心に18カ国に就航するエアアジアグループと、楽天グループとの補完効果は大きい」という。
また、三木谷社長は、政府の産業競争力会議の民間議員を務める。「政府関係者と協議する中で、20年の東京オリンピックに向けて訪日外国人客を増やすことに本気度を感じている。航空行政の位置付けは、これまでとは違うものになる」(三木谷社長)ことも、航空事業への参画を後押ししたようだ。