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「世界一速い会社」の秘密
【第5回】 2015年12月11日
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竹田正俊

時間を守ってほしいなら、まず自分が守れ

「史上最速」の会社に学ぶ、速さの秘密。今回は、速さを実現するために当社でつくっている「仕組み」をご紹介します。

すべてのスケジュールを社内に映し出す

 私たちの会社では、すべての開発案件のスケジュールが一目でわかるようにしてあります。それぞれの案件の現状や締め切りをプロジェクターで壁に映し出しているのです。

 これは社員を焦らせるためではありません。

当社では、作業チーム全員が見える場所に、進捗状況がわかるスケジュール表を映し出している。

 たとえば、今日納期の製品が3件あるなら、全員でそれを最優先して作業をします。情報を全員で共有して、いまやるべきことをそれぞれが把握し、いま果たすべき責任をしっかりと理解するために使っているのです。

 こういった可視化は、チームの作業効率を上げるためには欠かせません。

 通常は個別にスケジュールを管理して、「報・連・相」で進行状況を報告する方法をとっていることが多いでしょう。それほど速さを求められない仕事では、この方法でも機能すると思います。

 しかし私たちのように24時間で試作品を届けるような場合、とても個別にスケジュールを管理する方法では間に合わなくなります。

 「あの作業、どうなってる?」「えっ、僕がやることになってましたっけ?」
などというやりとりが生まれた時点で、完全にアウトです。

 グーグルカレンダーなどのスケジュール管理ソフトで全員の仕事の状況を共有することもできるでしょうが、いちいちサイトを開くのもひと手間かかります。プロジェクターに映し出して、全員でスケジュールを確認するのが一番効率的で確実だという結論になったのです。

 「見える化」は今やビジネスの基本とも言えるでしょうが、当社の見える化は徹底しています。いわば「まる見え化」。可能な限りすべてを可視化することで、状況が一発で把握できるようにしてあるのです。

「自分との約束」は約束ではない

デッドラインを決めたらかならず公開します。自分だけが知っているデッドラインは、デッドラインとは言えません。「自分との約束」ほど、頼りないものはないのです。

 人の意志は弱いもの。それは仕方のないことです。ここで大切なのは、「人の意志は弱いのだから、諦める」のではなく、「人の意志は弱いからこそ、それに対処する」という姿勢でしょう。意志は弱いということを前提にして、速さを実現できるようなルールや仕組みを構築することが大切なのです。

 そこでとても効果が高いのが、この「他人を巻き込む」ということです。心理学の世界では「他人効果」と呼ぶそうです。人は自分との約束は簡単に破りがちですが、誰かのためだと頑張れる生き物なのです。

 チームで動いている場合は、チーム全体でスケジュールを共有するのは当然でしょう。仮にスケジュールを共有しなくていい場合でも、仕事を速くしたいなら、上司や部下、同僚、取引先などにスケジュールを伝えるべきです。そして「この日までにこれをやります」と宣言するのです。フリーランスで一人で仕事をしている場合はSNSなどに投稿するだけでも効果はあります。

 他人とスケジュール、デッドラインを共有するときのポイントが2つあります。

 まずは、数字で示す、ということです。「とにかくがんばる」「できるだけ速くやる」といった目標は目標ではありません。具体的な話にはかならず数字が入っています。スケジュールを伝えるときは「◯日までに、◯番目の工程までやる」というように数字で伝えなければいけません。

 もうひとつは、日付ではなく時間で示す、ということです。「◯日までに」というと、深夜0時まで含まれてしまいます。「◯日の◯時までに」と示せば、より厳格にスケジュールを守ることができるでしょう。

時間を守ってほしいなら、まず自分が守る

 「チームのメンバーの仕事が遅くて、全体が遅れてしまう」「いつも納品が遅れる取引先がいて、仕事が遅れがちになる」、そんな悩みをお持ちの方もいるでしょう。自分は仕事が速いはずだけれど、まわりが遅いからなかなか仕事が順調に進まない。そういうときはどうすればいいでしょうか?

 一度振り返ってみてほしいのが、「自分は時間をきちんと守っているか」ということです。もし自分自身もたまに締め切りに遅れることがあって、「なあなあ」になっているのだとしたら、他人を責める資格はありません。時間を守ってほしいなら、まず自分が守る。それをきちんと徹底できているでしょうか?

 世の中には、納期に平気で遅れる会社もありますし、それを許す会社もあります。

 しかし、時間を売る私たちにとって納期は絶対です。相手の要望がどんなに厳しくても、納期までには間に合わせなくてはならないという「掟」があります。

 「あそこはいつも遅れる」と思われている業者には、みな「下駄を履かせる」ようになります。「本当は水曜日に納めてくれたらいいけれど、あの業者はいつも遅れるから、前倒しして納期は月曜日と言っておこう」となるのです。結局、互いに下駄の履かせ合いになってしまい、本当の納期がわからなくなっていきます。

 私たちはクライアントに対して、「ほんまの納期を教えてください。絶対うちは納期を守りますから」と言っています。ときどき初めて一緒に仕事をするクライアントに納期を前倒しされているのを感じると、「ほんまにここですか? この日でもいいんじゃないですか?」と聞いたりします。その後の工程を想像すれば、これまでの経験から大体の納期は予測がつくからです。

 そのように私たちが強く言えるのは、「必ず納期を守る」からです。そして一度納期を守ると、次回からはクライアントも信頼して腹を割って話してくれるようになります。

 「時間を守らなければいけない」という空気のあるチームは、全員がいい意味でピリピリとしていて、仕事は速くなっていきます。程よい緊張感があり、ミスも少ないのです。

 一方で「時間を守らなくていい」という空気が漂っているチームもあります。そういうチームでは「あ、すいません、1日遅れます」「おいおい、頼むよ」という会話が飛び交います。

 この違いはやはりそのチームのリーダーがつくり出すものだと思います。もしくは、そのプロジェクトの責任者です。

 プロジェクトの中心にいる人が遅れを許し始めると、メンバーは「ああ、それでいいんだ」と思ってしまい、仕事はどんどん遅れ始めます。しかし、リーダーが一切の遅れを認めず、遅れに対して厳しく接していれば、そのチームに緊張感が漂いはじめます。

 絶対に遅れてはいけないんだ。絶対にスケジュール通りにやるんだ。その意志が持てるかどうかは、時間に対する意識がリーダーにどれだけあるかにかかっています。

 チームがゆるんでいて、遅れ気味のときは、「時間は命である」ということを再認識しなければいけません。もちろん、リーダー自身が遅れないことは言うまでもありません。

 「最速の会社」の秘密を今後どんどん公開していきます。あなたの仕事やチームの仕事をスピードアップさせるヒントにしてください。

(続きは来週月曜日に更新します)

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竹田正俊

"株式会社クロスエフェクト代表取締役。1973年京都市生まれ。大手企業の下請け企業を経営していた父を見て、これからは「量よりもスピード」の時代が来ると考え、2000年、試作専門の会社「クロスエフェクト」を創業。徹底した「開発工程の短縮化」「時短」により試作品をどこよりも速く提供することをミッションとする。2009年、心臓など臓器の3Dモデルを開発し、テレビ東京系「カンブリア宮殿」などで紹介され、話題となる。2013年、「ものづくり日本大賞」にて最高賞である内閣総理大臣賞を受賞。「世界最速の会社」として日々、スピードの追求を続けている。


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