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「世界一速い会社」の秘密
【第6回】 2015年12月14日
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竹田正俊

ストップウォッチを使うだけでなぜ仕事は速くなるのか?

「史上最速」の会社に学ぶ、速さの秘密。今回は、速さを実現するために当社でつくっている「仕組み」をご紹介します

時間を意識するだけで仕事は速くなる

 人は意識したものが大きくなる、という性質があります。

 「頭が痛い」とずっと考え続けると、本当に頭が痛い気がしてきます。「今日はいい日だ」と何度も繰り返し思っていると、本当にいい日に思えてきます。肩こりを気にしていると、逆にひどくなったという経験がある方もいるのではないでしょうか?

 一時期レコーディングダイエットが流行りました。毎日体重を測り、食べたものを記録し、食生活に意識を集中させることで痩せるという方法です。私もここ数ヵ月、レコーディングダイエットをやってみましたが、本当に5キロも痩せたので驚きでした。それくらい「意識」の力は強いのです。

 速さ、時間に対しても同じことが言えます。時間に意識的になればなるほど、仕事は速くなり、時間を大切にできるようになります。

 時間に意識的になるために当社では「作業時間をカウントする」ということを徹底しています。

 作業時間をカウントするために、「シーマックス(CMAX)」というシステムを使っています。これはタイムマネジメントとコストマネジメントを同時にできるアプリで、社員全員がスマートフォンにダウンロードして使っています。

当社で使っている時間計測アプリ「シーマックス」

 ものづくりの業界でなければ、ここまでのシステムを用意しなくてもいいでしょう。スマートフォンに搭載されているストップウォッチ機能で十分です。

 ポイントは「どの作業にどれだけ時間がかかったかを計る」ということです。計測することのメリットはいくつもあります。

(1)ゲーム感覚で自然と速さを追求できるようになる

 同じような作業であれば、前回と比較することができます。「型の製造に前回は15分かかっていたけれど、今回は10分で終えられた」「表面処理を昨日は5分で終えられたのに、今日は8分もかかってしまった」といった具合です。まさにタイムトライアル。ゲーム感覚で作業を進められるようになるのです。

(2)改善策を自然と考えられるようになる

 もし、昨日よりも今日は作業に時間がかかっているのなら、「何が原因なんだろう?」と考えるようになります。疲れがたまっている、気分が乗らないといった心身の調子も影響するでしょうし、作業の進め方が昨日とは違っていたのかもしれません。

 ゲームを攻略するとき、「次はこの道を行ってみよう」「この道具を使って攻撃してみよう」といろいろ考えながらクリアしていくでしょう。それと同じで、作業を一秒でも速くするために、「あの道具を使えば、もっと速く進められるのではないか?」「道具の置き場の位置を変えるだけでも、作業効率は上がるのでは?」と各自が考えるようになるのです。

 「速くするにはどうすればいいか」という意識が芽生えると、仕事は勝手に速くなります。いくら上司が「速くしろ!」と怒鳴ったところで、生産性は上がらないでしょう。また、上司が「この工程はこうすれば速くなる」と手取り足取り教えても、仕事が速くなるとも思えません。

一人ひとりが「速くするためにどうすればいいか」と常に自分で問いを立てて、自分で答えを見つけようとしない限り、仕事は速くならないのです。

 「毎回の作業時間を計るなんて、めんどくさそう」「強制的に時間を計らせられるなんて社員がかわいそう」と言われることもありますが、想像するほど大変なことではありません。社員は自分なりの楽しみ方を見つけて作業できるようになります。

 慣れてしまうと朝に歯磨きをしないと気持ち悪いのと一緒で、時間をカウントしないと落ち着かないぐらいになります。逆にそれくらいにならないと、時間を意識する習慣は身に付けられないのです。

 意識するだけで人生は変わります。体重を意識すればやせる。時間を意識すれば速くなる。意識の力は強大です。

「いま何をすべき時間か」を明確にする

 作業時間をカウントするといいのは、ものづくりだけではありません。営業や企画開発、デザインなどのアイデア仕事もカウントしています。

 デザイン担当の社員は、デザインを考え始めるときに、タイマーをスタートさせます。その日のうちに考えつかなかったときは、いったん終了して、翌日に再度スタート。次の日も思い浮かばなかったときは、翌日に持ち越します。

 ただ、考える仕事の場合は、計ったところで時間を短縮させるのは難しいでしょう。「速く考える」というのは不可能です。それなのになぜ、考える仕事でも時間をカウントするのか? それは「いま何をすべき時間か」を明確にしてもらうためです。

 人はあることをやっていても、集中が切れてくると他のことを考え始めたり、悩んだりし始めます。そういうときに傍らにストップウォッチがあったら、「あ、いまはあのことについて考えるんだった!」と意識を引き戻すことができます。なかなか厳密には難しいですが、少なくとも「いまはこれをやる時間である」と意識するだけでも作業効率は変わってきます。

 また、コスト意識を持ってもらう意味もあります。デザインなどを考える時間ももちろんコストに含まれます。よって、それをしっかり記録して、意識してもらうのです。

 営業であれば、商談にかかった時間や電話での打ち合わせ、見積もりをつくるのにかかった時間、納品にかかっている時間など、作業を細分化して時間をカウントしてみてはどうでしょうか?

当社では、あらゆる作業の横に「シーマックス」が置かれている。

 取引先と電話で打ち合わせをするときも時間を計っていれば、本題から話が横道にそれることもないでしょう。多少の雑談はコミュニケーションとして大切ですが、大きくそれすぎて元の道に戻ってこられないようでは、時間をムダ遣いしています。

 時間を計ることは集中力を高めることにも役立ちます。

 作業が遅くなったり中断したりすることの原因の多くは「他の案件の割り込み」です。

 メールが気になる。SNSが気になる。もしくはある作業をしている最中に「あ、あの仕事やらなきゃ」と突然思いだし、別の仕事を始める、など。多くの人が経験しているのではないでしょうか?

 時間を計るようになると、目の前の仕事に集中せざるをえなくなるので、別の案件に注意がいかなくなります。仮に別の案件を思い出したら、さっとメモをとって忘れないようにしておけばいいでしょう。

 時間計測によって得られるメリットは、思った以上に多いのです。

 

 「最速の会社」の秘密を今後どんどん公開していきます。あなたの仕事やチームの仕事をスピードアップさせるヒントにしてください。

(続きは明日更新します)

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竹田正俊

"株式会社クロスエフェクト代表取締役。1973年京都市生まれ。大手企業の下請け企業を経営していた父を見て、これからは「量よりもスピード」の時代が来ると考え、2000年、試作専門の会社「クロスエフェクト」を創業。徹底した「開発工程の短縮化」「時短」により試作品をどこよりも速く提供することをミッションとする。2009年、心臓など臓器の3Dモデルを開発し、テレビ東京系「カンブリア宮殿」などで紹介され、話題となる。2013年、「ものづくり日本大賞」にて最高賞である内閣総理大臣賞を受賞。「世界最速の会社」として日々、スピードの追求を続けている。


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