ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
勝手に選別される世界
【第1回】 2015年12月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
マイケル・ファーティック,デビッド・トンプソン,中里京子

ビッグデータは、どこまで僕らを追い詰めるのか?
――何気ない1クリックが招く「恐るべき事態」

ソーシャルメディア、ビッグデータ、クラウド、シェアリングエコノミー……次々と勃興する新たなテクノロジーとサービスがもたらす「評判」がすべての世界で、密かに進行している「恐るべき事態」とは? 世界初のレピュテーション・マネジメント会社創業者とオンラインプライバシーに精通した弁護士が語りつくした『勝手に選別される世界』から、「すぐそこにある現実」の一端をご紹介する。(構成:編集部 廣畑達也)

 毎日フェイスブックやツイッターで他人とつながり、アマゾンでのお買い物でビッグデータの恩恵を受け、さらにこれからはAirbnb(エアビーアンドビー)やカーシェアといった「シェアリングサービス」を享受する――。

 次々と勃興する新たなテクノロジーと革新的なサービスによって、ますます快適になっていく私たちの暮らし。しかしその裏では、日常生活のすべてが点数化され、「評判(レピュテーション)」としてデータ化される世界への移行が進行しているという。

 評判の威力は絶大だ。
 どんな人に声をかけてもらえるか、何を一緒にやってもらえるか、代わりに何をしてくれるかは、みな、あなたの評判にかかっている。
 銀行が家や車のローンを都合してくれるかどうか、家主が部屋を貸してくれるかどうか、どんな会社に雇ってもらえるか、そもそも仕事にありつけるかどうかも、あなたの評判次第だ。
 提供される優待の種類やVIP待遇の中身も評判によって異なるし、これからデートする相手が誰になるかさえ、あなたの評判によって大きく変わる。
 健康保険や、自動車保険、住宅保険、生命保険が掛けられるかどうかも、保険会社が握っているあなたの評判次第。
 政府が握っているあなたの評判によっては、容疑者にされてしまうかもしれない。
 こうした評判の威力は、今まさに強大になりつつある。急激に進化するデジタルテクノロジーのおかげで、好むと好まざるとにかかわらず、あなたの評判はどこでも、いつでも、全世界で入手できるようになるからだ。たとえどこに出かけようとも、あなたの評判に関する情報には、誰でも即座にアクセスできるようになる――あなたが気づかないうちに、そして、アクセスされることに同意などしていなくても。(『勝手に選別される世界』12ページ)

 まさに、いわゆるビッグデータ――厖大な量のデータを集めて保管するトレンド――と、ソーシャルメディアが浸透した先に広がる世界の一端を示している。

 とはいえ、レピュテーションにはよい面があるのも事実ではなかろうか。無名のボーカルが世界的ロックバンド「ジャーニー」に抜擢されたのは、YouTubeにアップした動画がきっかけだった。そんなサクセス・ストーリーは、探せばすぐに見つかるだろう。実際、ソーシャルメディアが流行りだした頃は「誰にでもチャンスがある」と盛んに言われていたはずだ。

 しかし、オンライン上の評判の世界的権威ファーティックとトンプソンは、そうした「プラス」の裏側にある「マイナス」を見逃さない。

 このことがあなたにどんな影響をおよぼすかということについては、(あなたのような)消費者に関する情報について毎分何百万件もの処理スピードで判断を下すシステムの開発に、企業がすでに着手していることを考えてみるといい。このような判断が下される対象は、“まあ当然だと思われること”から“ドキッとさせられるもの”まで、急速に広がっている。
 前者には、クレジットカード詐欺を減らすために不自然な取引を鑑別する、というようなことが含まれ、後者には、保険会社が顧客のオンライン活動に基づいて契約を拒否したり、企業がコンピューターの分析結果に基づいて社員の採用や昇進を決めたり、酒場で相手の人物背景調査が瞬時に行えるようなモバイルアプリまでが含まれている(同16ページ)

 ここから読み取れるのは、「無自覚なままでは知らぬ間に“レピュテーション格差”の底辺に落ち込んでしまいかねない」という恐るべき側面だ。

・何気ない1クリックのせいで「信頼性スコア」が下落し、保険料が跳ね上がる
・日々の「つぶやき」の内容で判断され、適切なサービスが受けられない
・つながっている「友だち」まで測られて、融資条件が悪化する

 ほんの少し先に広がる「未来」では、このようなことが当たり前になっているかもしれないのだ。

スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる 最高の子育てベスト55

トレーシー・カチロー 著/鹿田 昌美 訳

定価(税込):本体1,600円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
子どもの豊かな心を育て、頭と体を伸ばしていくために親が知っておきたいことについて、最新の科学研究をもとに「最も信頼」できて「最も実行しやすい」アドバイスだけを厳選して詰め込んだ貴重な本。子にかけるべき言葉、睡眠、トイレトレーニング、遊び、しつけまで、これ一冊さえ持っていれば大丈夫という決定版の1冊!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


デビッド・トンプソン 

レピュテーション・ドットコム社の初代法律顧問かつ個人情報保護管理責任者。イェール大学およびスタンフォード大学法科大学院卒業後、連邦最高裁判所判事アントニン・スカリアの助手を務めた。現在は弁護士および企業重役として活躍。プライバシーについての講演やメディア露出も多い。

中里京子(なかざと・きょうこ)

翻訳家。1955年、東京生まれ。早稲田大学教育学部社会科卒業。20年以上実務翻訳に携わった後、出版翻訳の世界に。訳書に『依存症ビジネス』『勝手に選別される世界』(ともにダイヤモンド社)、『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、『不死細胞ヒーラ』(講談社)、『個人インフルエンサーの影響力』(日本経済新聞出版社)、『食べられないために』(みすず書房)など。


勝手に選別される世界

ソーシャルメディア、ビッグデータ、クラウド、シェアリングエコノミー……
次々と勃興する新たなテクノロジーとサービスがもたらす、日常生活のすべてが点数化され、「評判(レピュテーション)」としてデータ化される世界。

「誰にでもチャンスがある」と言えば聞こえはいいが、無自覚なままでは知らぬ間に格差の底辺に落ち込んでしまいかねない。
たとえば……

・グーグル検索の何気ない1クリックのせいで「信頼性スコア」が下落し、保険料が跳ね上がる
・ツイッターの「つぶやき」の内容で判断され、適切なサービスが受けられない
・フェイスブックでつながっている「友だち」まで測られて、融資条件が悪化する

このようなことも冗談ではなく、「すぐそこにある現実」なのだ。

もはや「知らない」ではすまされない、「レピュテーション経済」で私たちの仕事、財産、人間関係はどう変わるのか、そして、どうすれば自らの身を守り、利益を手にすることができるのかを、この度『勝手に選別される世界』を刊行した世界初のレピュテーション・マネジメント会社創業者とオンラインプライバシーに精通した弁護士が語りつくす。

「勝手に選別される世界」

⇒バックナンバー一覧