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DOL経営解説委員会~経営の達人が教えるリーダーの教養

2016年の世界的サプライズに備える
「不確実性のマネジメント」

川本裕子・早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授

川本裕子 [早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授]
【第8回】 2015年12月14日
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わからないことさえわからない
「Unknown unknown」というリスク

「金融危機10年周期説」によると、2016年は次の金融危機の前年にあたる。ジンクスと紙一重の言説だが、ことほどさように、足もとで世界には多くのリスク要因がある

 年末は今年1年を振り返り、来たる年がどのような年になるのか、考えを巡らすことが多くなると思います。今年起きたことで年初には到底想像できなかったことは何だったでしょうか。

 ギリシアが国民投票まで実施してユーロ離脱の瀬戸際まで至ったのは驚愕でした。秋には、中国の経済成長の見通しが下方修正されたのもサプライズで、株式市場を始め様々な波紋が広がりました。そして欧州を揺るがす難民問題と、さらにはパリで起きた大規模なテロ事件は、国際関係の底流にある不安定性を表面化させました。

 では、来年サプライズはあるのか。多分あるでしょう。米国のラムズフェルド元国防長官が語ったことの中で、「わからないこと(Unknown)にも2種類ある」という話があります。

 まず「Known unknown」(わかっている未知)とは、詳細や最終的な結末はわからないが、わからないことは少なくともわかっているということです。ところが、さらに「Unknown unknown」(わかっていない未知)というのもある。わからないことさえもわかっていない、つまり「全くもって予想できていないこと」ということになります。

 見方の違う人の意見を聞いたりして考える範囲や角度を変えることによって、多少わかる部分が増える、ということはありますが(だから多様性が大事なのですが)、後者は予測精度を上げてもそこから外れているものなので、定義上対処のしようがありません。しかし、前者については、ある程度可能性を特定できますし、それなりの準備も可能です。まずは、「わかっている未知」を経済関係で考えていくことから始めましょう。メインシナリオを想定し、他方で可能性は低いがサプライズの事態に備える、というのがオーソドックスな考え方だと思います。

「金融危機10年周期説」によると
2016年は次の金融危機の前年にあたる?

 いきなりですが、「金融危機10年周期説」というのがあります。1987年にブラックマンデー、1997年にアジア危機、2007年にリーマンショックがあったから、2017年にも金融危機が起きるのではないか、と懸念する声です。ジンクスと紙一重ではありますが、来年2016年はある意味、これまでの経済や金融市場の歪みが爆発に向かっていないか、注意すべき年であるとは言えるでしょう。

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川本裕子(かわもと・ゆうこ) [早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授]

東京大学文学部社会心理学科卒業。英オックスフォード大学大学院開発経済学修士修了。東京銀行を経て、1988年マッキンゼー東京支社入社、95-99年のパリ勤務を経て、2001年シニアエクスパート。2004年から現職。これまでに金融審議会委員、金融庁顧問(金融問題タスクフォースメンバー)、道路公団民営化推進委員会委員、総務省参与(年金記録問題検証委員会)、経済財政諮問会議専門委員、国家公安委員などの政府委員や、取引所、金融機関、証券、保険、製造業、商社、IT企業、海外メディア企業などの社外取締役や社外監査役を務めた。日本コーポレートガバナンスネットワーク理事。近書に『金融機関マネジメント』(2015年、東洋経済新報社)など。


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企業経営に携わるリーダーたちには、経営戦略、ガバナンス、リーダーシップ、組織、イノベーション・マネジメント、そして自社を取り巻く経済環境の分析など、経営に関する様々な分野の知識が求められる。当連載では、企業経営に携わる読者に対し、経営学の教授、コンサルタント、実業家など「経営の第一人者」と呼ばれる識者たちが、「特任解説員」として専門分野における重要テーマを解説していく。彼らの提言からは、企業経営に関する深い教養を得られるはずだ。
 

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