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シフト 2035年の未来
【第7回】 2015年12月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
マシュー・バロウズ,藤原朝子 [学習院女子大学]

世界経済は再び「ブロック化」するのか

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大統領の指針ともなる最高情報機関・米国国家会議(NIC)。CIA、国防総省、国土安全保障省――米国16の情報機関のデータを統括するNICトップ分析官が辞任後、初めて著した全米話題作『シフト 2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来』が11月19日に発売された。在任中には明かせなかった政治・経済・軍事・テクノロジーなど、多岐に渡る分析のなかから本連載では、そのエッセンスを紹介する。

グローバル経済の状況は、決して一部で喧伝された「フラット化」したものではない。むしろ、エリア間での「差」の方が目立つのが現状だ。第7回では、世界経済は再び「ブロック化」するのか――その可能性を分析する。

アジア経済圏を巡る
アメリカの「影」

地域内貿易の拡大は地域統合の機運を高め、地域機構を中心とした世界秩序を生み出すおそれがある。たとえばヨーロッパの貿易の3分の2近くはEU域内で、アメリカの貿易の40%以上は北米自由貿易協定(NAFTA)加盟国間で行われている。

東アジアでも域内貿易が全体の53%、ラテンアメリカ(メキシコを除く)でも域内貿易が約35%を占める。ラテンアメリカの場合、その割合は急速に拡大しており、南米諸国連合(UNISUR)の成長に拍車をかけている

アジアでは、とりわけ多様な地域機関が生まれている。今後も経済統合が進むにつれて、環境問題(海面上昇など)や貿易・金融規制など、目的を絞った機能的な地域機関が増えるだろう。ただ、アジアに地域的な集団安全保障秩序が生まれるかどうかはわからない。中国中心のシステムに傾いている国もあれば、中国の影響力拡大に強く反発する国も多いからだ。

こうした多様性は、裏を返せば、「アジアとは何か」という最も基本的な問いにも、アジア諸国が足並みのそろった答えを持たないことを意味する。アジアの統合が進むかどうかは、引き続きアメリカが大きなカギを握るだろう。いまは、中国の台頭が近隣諸国の安全保障上の脅威と受け止められており、経済統合が加速しても、集団安全保障秩序の構築は難しくなっている。

だが、中国自身が周辺国に脅威と受け止められないよう努力すれば、状況は変わるかもしれない。また、アジア諸国がアメリカは頼りにならないと思うようになったら、中国という「勝ち組」に加わって、アジアだけの安全保障秩序を構築する機運が高まるかもしれない。

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米国の最高情報機関であるNIC(国家情報会議)の元分析・報告部部長。直近の2号である『グローバルトレンド』(2025/2030)で主筆を担当。ウェズリアン大学(学士号)とケンブリッジ大学(博士号)で歴史学を学ぶ。1986年にCIA入局。2003年にNICに加わる。28年に渡って国家情報アナリストとして活躍。リチャード・ホルブルック国連大使の情報顧問を務めたこともある。2013年に辞任し、現在は「アトランティック・カウンシル」戦略フォーサイト・イニシアチブ部長を務める。ワシントン在住。

 

藤原朝子[学習院女子大学]

 

学習院女子大学非常勤講師。フォーリン・アフェアーズ日本語版、ロイター通信などで翻訳を担当。訳書に『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』(ダイヤモンド社)、『ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと』(CCCメディアハウス)、『未来のイノベーターはどう育つのか ―― 子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの』(英治出版)など。

 


シフト 2035年の未来

大統領をも動かす米国最高情報機関NIC元トップ分析官が、「2035年」の未来を徹底予測! CIA、国防総省、国土安全保障省……米国16の情報機関を統括し、未来予測・分析を行う諮問機関が、国家情報会議(NIC)です。政治・経済・軍事・テクノロジー、あらゆる領域からNICトップ分析官が在任中には明かせなかった不都合な「シフト」を分析します。

「シフト 2035年の未来」

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