きょう(6月2日)、鳩山首相が辞任した。

 当日の朝まで「首相辞任」はないとみて、そのように報じていた筆者は、結果として「誤報」を出したことになる。

 まずは、自らの不明と取材不足を直視して、お詫びをしたい。

 両院議員総会で壇上に立った鳩山首相は、辞任の理由として次の二つを挙げた。

 普天間飛行場を県外移設するという約束を守れなかったこと、そして、「政治とカネ」の問題についてきちんと説明責任を果たしてこなかったことである。

 前者の普天間問題は選挙公約であり、それを守れなかったということは端的に言って公約違反である。そこに政治責任が発生するのは当然であるし、政治が結果責任である以上、辞任という決断を下したのも十分に合理的な行動だと考えられる。

 ただ、二つ目の「政治とカネ」の問題となると微妙である。この問題は、そもそも政権交替前から指摘されていた点であり、何をいまさらという感がしないでもない。

 とはいえ、それらを認めて鳩山首相が辞任を決断したのは紛れもない事実であり、今回のコラムではその点を追及しても詮無しとして置いておく。むしろ問題は別のところにある。

「説明責任を果たした」はずの
小沢幹事長が辞任する矛盾

 今回、鳩山首相と同時に辞めたのが小沢幹事長だ。両院議員総会での鳩山首相の言葉を借りれば、同じく「政治とカネ」の問題を抱えている幹事長に辞任をお願いして、政治的な決着を図ったということになる。

 だが、これは、昨年の3月以来、繰り返し記者会見を開き、説明責任を果たしたと誇っていた小沢幹事長の過去の言葉と整合性がつかない。

 小沢氏はこの一年以上にわたって言い続けてきた自らの言葉と矛盾してはいまいか。

 ただ、自らの言葉に囚われているのは小沢氏だけではない。

 鳩山首相自身も同様だ。