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トンデモ人事部が会社を壊す

実は落とすのが快感!
「優秀な人材を厳選採用」する人事のホンネ

山口 博
【第35回】 2015年12月15日
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採用市場では昨今、企業はこぞって、優秀な人材を採用しようと躍起になっている。しかし、内外企業で積極採用してきた私は、優秀な人材を厳選採用しようとしている会社が成功した事例を見たことがない。

1次面接で9割を落とす!
厳選採用の呪縛から逃れられない企業

 営業担当者の陣容を整えれば業績伸展が望めるフェーズにあった、製造製品の輸入販売会社であるJ社が、有名大学やMBAホルダーの厳選採用に注力するあまり、採用目標を半分も満たせないという状況に2年にわたって陥っていた。

厳選採用にこだわりすぎて自滅する会社が多い理由はなぜか?

 営業部長が知恵を出し合った結果、候補者100人に対して、営業部長による1次面接80人、役員による2次面接40人を経て20人に内定を出し、辞退率50%に鑑み、10人採用するという計画を立てた。それまでおよそ、1次面接をした候補者の1割しか2次面接へ進ませないという厳選採用をしていたが、5割を2次面接へ進ませることにしたのである。

 しかし、蓋を開けてみれば、営業部長たちは、この計画を立てた張本人たちであるにもかかわらず、候補者に対してNGを出しまくり、次々と1次面接で落とし続けた。その結果、2次面接への通過率は5割どころか、これまでと変わらぬ1割という結果となってしまったのである。

 営業部長たちに理由を聞いてみると、「やはり、標準的な人材では会社の飛躍的伸展は望めない」、「やはり、MBAホルダーがソリューション営業を展開する夢を捨てるべきではない」、「米国のグローバル本社ではとびきり優秀な人材を採用できている。日本でもできるはずだ」、「業界経験者でなければ即戦力にならない」、「育成体制が整っていないので、並みの人材では育たないし、本人が苦労するだけだ」などの、「やはり、従来通りのやり方をすべきだ」という答えが、次々と返ってきた。

 J社に限らず、どのような人材を採用しようとしていますかと質問すると、「優秀な人材」を厳選採用しようとしていると答える会社は実に多い。意図する概念に幅はあろうが、「潜在能力のある人材」でもなく、「革新的な人材」でもなく、「優秀な人材」という表現が使われる。

 そして、そうした企業のほとんどが採用目標を達成できないでいることもまた、厳然たる事実だ。人材の量と、人材の質という、相反する目標の両方を満たすことができないジレンマから逃れられていないと、言わざるをえない。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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