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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

米国利上げで世界中の「運用難民」が押し寄せる

高田創・みずほ総研チーフエコノミスト

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第194回】 2015年12月16日
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世界の「金利水没」のなかで
「浮き輪」のように突出する米国

米国の利上げは確実とみられるが…。写真は下院融サービス委員会の公聴会席上のイエレンFRB議長(11月4日) Photo:Federalreserve

 12月16日、米国FRBによる政策金利の引き上げが見込まれる。利上げは2006年以来、約10年ぶりの大きな転換を意味する。FRBの関係者はイエレン議長をはじめ年内の利上げを強く示唆するコメントを行っていただけに、今回の利上げは既定路線とみていい。ただし、ここでは今回の利上げをめぐる環境がかつてない状況にあることを、米国国内要因と海外要因から考える。

 まず、国内要因としては、ゼロ金利、しかも量的緩和にまで至った状況からの、初の利上げであることだ。海外要因については、下記の図表1、「世界の金利の『水没』マップ」のなかでその特異性を考えてみよう。

 「水没マップ」は基本的に国別・年限別の国債利回り、イールドカーブ状況を示す。マイナスになった「水没した」ゾーンを濃く示しており、0%以上0.5%未満、0.5%以上1%未満、1%以上と徐々に色を薄くしている。

 欧州の北の諸国は軒並み長期ゾーンまで水没状態が続き、日本も中期までが水没している。今回の論点は、世界の多くの国々が水没するなか、米国は水没せず、世界の海で「浮き輪」のように浮き出ていることにある。

◆図表1:世界の金利の「水没」マップ(2015年12月9日)

(資料)Bloombergよりみずほ総合研究所作成
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高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


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