「は~い、皆さん、こっちですよ。ちゃんとついてきてくださいね」
ある日曜日。東京・銀座8丁目の高速道路下に着くと、大型バスが次々と停車し、ガイドを先頭にして、中国人観光客が大勢吐き出されてくるところだった。彼らは小グループに分かれて、銀座4丁目の方向に向かって歩いている。数分歩いた先にあるのは、ラオックス銀座本店だ。ガイドはそこで足を止め、「4時に戻ってきてくださいよ。待っていますからね」と念を押した。
ガイドが最後まで話し終えるか終えないかの間に、観光客の一部は一目散に店内に入って行った。ふと見ると、銀座4丁目の方向から、買い物を終えたグループがニコニコしながらやってきた。それぞれが「資生堂」「三越」といったロゴの入った紙袋をいくつも提げている。
ある中国人女性は息を弾ませながら荷物を置くと、こう話し出した。
「四川省の成都からやってきました。今回買ったもの? え~っと、温水洗浄便座、炊飯器、一眼レフカメラ、そして服とカバン、ええっと、それからね……」
これらは、歩行者天国になっている銀座中央通りでは、すでに見慣れた光景だ。中国の都市部ではめったに見られない青空の下、中国人観光客たちが思い思いに銀座の休日を楽しんでいる様子だ。
中国人観光客は約2倍に激増
いつかどこかで見た「爆買い」の光景
日本政府観光局(JNTO)の調査によると、2015年の訪日中国人数は対前年比約2倍の500万人に到達しそうな勢いで、過去最高となることが確実視されている。15年の日本の新語・流行語大賞にも「爆買い」が選ばれ、15年の日本列島はまさに「爆買い」一色となった。
しかし、よく考えてみると、この光景を私たちはどこかで見たことがないだろうか?免税店に列をなして大量のブランド品を買い込んだり、同じお土産を何十個と買ったりする姿は、1980年代のバブル期の日本人と、どこか似ていることに気づく。