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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカの金融正常化で
先進国は「勝ち組」と「負け組」に分かれる

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第43回】 2015年12月24日
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アメリカの金融正常化後の世界経済は一見、不透明だが、大きな方向を見通すことはできる

 アメリカが金融正常化に踏み切った。その後に開ける新しい経済均衡は、どんなものになるのだろうか? その中で、日本はどうなるのか?

 IMFの予測では、日本の低成長が続くことが予測されている。

 つまり、アベノミクスによっては、日本の低成長構造は改善されないのだ。そして、日本は、出口のない金融緩和と、止めどもない円安に引きずり込まれるおそれがある。こうした状態から脱却するには、経済政策の根本が見直されなければならない。

世界経済が4つのグループに分かれる
その中で日本が位置するのは……

 アメリカの金利引き上げに対して、世界の株式市場は激しい値動きを示した。日経平均株価も、連日、数百円単位の価格変動を記録した。

 これは、金融正常化後の世界経済がどうなるかに関して、必ずしもコンセンサスが形成されていないことの反映だ。一見したところ、世界経済は大きな不確実性に包まれている。

 しかし、大きな方向を見通すことはできる。それは、世界経済が次の4つのグループに分かれることだ。

 第1グループは、市場経済を活用する度合いが高い先進国、すなわち、アメリカ、イギリス、アイルランドである。これらが、「勝ち組」になる。

 第2グループは、経済活動への国家の介入度合が強い先進国、すなわち、大陸ヨーロッパと日本である。これらが、「負け組」になる。

 第3グループは、新興国だ。資源に依存する新興国は、資源価格の下落によって、すでに危機的な状況に直面している。

 そして、第4が中国だ。これも危機的状況にある。

 これらのうち、中国経済は、独自のメカニズムで動く側面が強く、アメリカの金融政策による影響もあまり大きくない。そこで、この問題については別の機会に論じることとする。

 以下では、先進国が2つのグループに分かれること、第1と第2グループが経済成長率と為替の両面において対照的な動きを示すこと、そして、新興国がアメリカ金融正常化によって大きな影響を受けることを指摘したい。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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