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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

2016年の世界経済・金融を読み解く4つの視点

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第25回】 2015年12月16日
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 この原稿がウエブに掲載される16日には、2015年における世界経済・金融の最大の課題であった米国の中央銀行FRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)による利上げがいよいよ実施され、イエレン議長から詳細や米国経済の評価も発表される予定である。

 今年から来年にかけては、近年になく世界経済・金融に歴史的といっていいほどの重要なトピックが多い。とりわけ重要なのは、(1)米国の中央銀行FRBによる今後の利上げ、(2)日本の経済政策の成長戦略への転換、(3)中国の経済悪化の行方、(4)資源価格と新興国経済の低迷、の4つと考えている。この4つの課題を“軸”にして、分かりやすく2016年の世界経済の大きな流れを展望してみたい。

 大きな流れをとらえると次のようになる。米国は利上げがあってもそれを乗り越える。日本は量的金融緩和に頼った政策から、経済成長を目指した政策に転換し経済はある程度好転する。中国は問題もあるが、財政出動や利下げの余地もあり中高速の成長は続ける。資源価格は特に供給サイドの問題で下落が続く。そして、新興国は中国と資源価格、そして米国利上げの影響を受け、以前のような高成長は期待しにくい。以下、テーマごとに見ていこう。

視点1:利上げ後も米国経済は力強さを維持

 米国FRBが2015年12月15日~16日のFOMC(連邦公開市場委員会:Federal Open Market Committee)において、10年振りの利上げを実施する予定である。金融市場では、その先の利上げ継続の計画を織り込み(予想)つつある。現時点では、来年の利上げは3~4回を予想する。

 米国は2008年9月に発生した世界金融危機「リーマンショック」への対応で、2008年11月から2015年11月まで7年間量的金融緩和政策を続けた。FRBは2015年11月に方向を転換し「正常化」に向かって量的金融緩和を終了し、徐々に資金量は減らしている。次は、金利の引き上げ(利上げ)ということは当然の流れである。

 イエレン議長は失業率を重視しているが、今回の利上げの判断をするにあたって、雇用増加数など雇用の面は問題ないと判断をした。物価については、イエレン議長は賃金上昇率に注目している。これが上がれば景気は良くなり、物価は上昇すると考えているのだ。利上げは、米国内の金融市場や景気に対してネガティブな影響も想定されるが、十分な分析と確認の上で実施されると考えられる。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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