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岸博幸のクリエイティブ国富論

霞ヶ関の利害と一致する菅新政権の「第三の道」は、
財政再建ではなく財源確保のための大増税への道だ

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第92回】 2010年6月11日
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 菅政権が発足し、世論調査では日経が68%、毎日が66%、読売が64%、朝日が60%と、満遍なく高い支持率が出ました。脱小沢の体制が評価されたのでしょうが、どうも違和感を感じざるを得ません。発足早々の菅総理の発言から、経済財政政策については非常に危ういと言わざるを得ないからです。

“財政再建のための増税”にだまされるな

 菅総理は、“財政再建のための消費税増税”に前向きな発言を繰り返していますが、これを額面どおりに受け取ってはいけません。

 確かに日本の国と地方を合わせた累積債務は、GDP比約200%と先進国の中で最高水準、財政破綻したギリシャよりも悪い状態にあります。麻生・鳩山の大盤振る舞いの前ならば増税なしでの財政再建は可能でしたが、今や増税が不可避な状態にあるのは事実です。

 菅総理は、G7などの場を通じてギリシャの財政問題の深刻さを実感し、財政再建とそのための消費税増税に前向きになったようです。それが純粋に財政再建のためだけならば良いのですが、今の政府にはまだムダが山ほど残っていて、かつ民主党のバラマキ政策が修正されていないことを忘れてはいけないのではないでしょうか。それを放置したままでの安易な消費税増税は危険です。

 民主党がマニフェストに掲げたように、行政にはまだかなり多くのムダが残されています。政権は事業仕分けでそれを削減しようとしましたが、過去2回の成果からも明らかなように、そうしたアプローチでは時間がかかるし成果も限定されると言わざるを得ません。マニフェストで約束した“行政のムダ削減による新規政策の財源捻出”は、初年度から実現できなかったのです。

 かつ、政権は密かに行政のムダを温存しようともしています。その典型例が公務員制度改革の関連で策定された公務員の「退職管理基本方針」です。これによると、役所の幹部クラスの年次の人で幹部ポストに就けなかった人のために“高級スタッフ職”的な専門職ポストを新設するようです。要は、今の政府は民間企業で言えば破綻状態なのに、民間では当たり前のリストラは行なわず、仕事がない人にも高い給料を払い続けようとしているのです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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