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前駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」

慰安婦問題の日韓合意は
本当に「不可逆的な解決」となるのか

武藤正敏 [前・在韓国特命全権大使]
【第2回】 2016年1月6日
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12月28日外相会談時の岸田文雄外務大臣(左)と尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外交部長官(右)
出所:外務省

 2015年11月2日の日韓首脳会談において、両国の首脳は慰安婦問題に関し「国交正常化50周年を念頭に早期妥結を目指して交渉を加速化させる方針」を確認した。これを受けて、12月28日、岸田文雄外相が訪韓し行われた外相会談で、慰安婦問題の決着を見た。

 今回は、年末ぎりぎりのこのタイミングで何故合意したのか、それは何を意味するか、合意は確実に実施されるのかについて、現時点での私の見解を述べたい。この合意に関しては、現在様々な反応があり、日韓外交当局においても若干ニュアンスの異なる解釈も見られる。このため、合意の進展状況、日韓関係に及ぼす影響については次回でより詳しく解説したいと思う。

解決の鍵は「挺対協」をいかに抑え込むか
韓国政府が表舞台に立ったことで状況は変わる

 日韓両国外相は会談の後、共同記者会見を行い以下の内容を発表した。

(1)慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認する。

(2)軍の関与の下、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題として日本政府は責任を痛感する。安倍内閣総理大臣は心からのお詫びの気持ちを表明する。

(3)元慰安婦を支援するため、韓国政府が財団を設立し、日本政府が10億円程度の資金を一括拠出する。

(4)両国政府は今後、国連など国際社会で本問題について互いに非難、批判することは控える。

(5)少女像については、韓国政府が関連団体との協議を通じ解決に努力する。

 この合意を受けて、両首脳は電話会談を行い、この合意を歓迎するとともに今後日韓関係を未来志向の関係としていくことを確認した。

 また、米国のケリー国務長官、ライス大統領安全保障補佐官が合意を歓迎する談話を発表した。

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武藤正敏 [前・在韓国特命全権大使]

むとう・まさとし 1948年生まれ、1972年横浜国立大学経済学部卒業。同年、外務省入省。在ホノルル総領事(2002年)、在クウェート特命全権大使(07年)を経て10年より在大韓民国特命全権大使。12年に退任。著書に「日韓対立の真相」、「韓国の大誤算」(いずれも悟空出版)。


前駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」

冷え込んだままの日韓関係。だが両国の国民は、互いの実像をよく知らないまま、悪感情を募らせているのが実態だ。今後どのような関係を築くにせよ、重要なのは冷静で客観的な視点である。韓国をよく知る筆者が、外交から政治、経済、社会まで、その内側を考察する。

「前駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」」

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