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中国・韓国が日本との関係改善に追い込まれた事情

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第402回】 2015年11月10日
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中韓が拒み続けていた首脳会談に応じた事情とは。写真は11月1日の三ヵ国首脳会談での様子
Photo:新華社/アフロ

背に腹は代えられず
首脳会談に応じた中韓

 11月1日と2日の両日、日本・中国・韓国の首脳がソウルに集まり、約3年半ぶりの三ヵ国首脳会談が行われた。

 元々、三ヵ国首脳会談は2008年から12年まで定例的に開催されていた。その後、わが国と韓国との間で、李明博(イ・ミョンバク)前大統領の竹島上陸や天皇謝罪要求などの問題が発生した。また、中国とは尖閣諸島をめぐる問題が顕在化し、日中韓三ヵ国の関係が悪化したこともあり首脳会談は開催されていなかった。

 その間、安倍首相は中国・韓国に対して開催を提案したものの、韓国からは慰安婦問題、中国からは領土問題を理由に両国に拒否されてきた。

 しかし、ここへ来て中国経済の減速が鮮明化し、それに伴い韓国経済にも減速の兆候が見え始めている。両国としては対日の建前は別にして、わが国との関係を修復し経済的なメリットを取ることを考えたのだろう。

 TPPが当初の予想よりも早期に大筋同意に至ったことも、中韓両国において無視できないファクターになっている。TPPによって太平洋を取り巻く12ヵ国が、より自由な貿易圏を創設し、しかも同一のルールに基づいてビジネスを進めることが可能になる。

 それは、自国内の大規模な過剰生産能力を抱える中国にとって、無視できないマイナス要因だ。また、貿易依存度の高い韓国も、TPPでわが国に先を越された危機感はあるはずだ。

 中国・韓国両国が背に腹は代えられず首脳会談開催に踏み切ったことは、それだけ両国の経済問題が顕在化していることを示しているとも言える。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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