電力自由化で始まる値下げ競争の果てしない消耗戦1月2日に用意した2500セットのチラシを数時間で配り終えるなど、顧客の反応は上々だ Photo by Yasuo Katatae

 4月の電力小売り完全自由化で開放される家庭向け電力市場。新規参入組が電力会社から顧客を奪おうと、年初から次々とのろしを上げた。

 先陣を切ったのが、東京・神奈川の高級住宅地などが地盤の東急グループ。元日から電気サービスの申し込み受け付けを開始し、すでに5000件以上の申し込みがあった。

 さらに翌2日には沿線の二子玉川駅で、「電気も初売り!」と銘打って、電気販売を担う東急パワーサプライの村井健二社長自らパンフレットやチラシを買い物客らに手渡して、異業種からの参入をアピール。「4月までには沿線で5万件以上の顧客を獲得したい」(村井社長)と鼻息が荒い。

 多くの企業が仕事始めとなった1月4日には、ガス大手の東京ガスと大阪ガス、石油元売り大手の東燃ゼネラル石油も電気サービスの申し込み受け付けを開始。東京ガスではすでに累計で1000件以上の電話問い合わせを受けた。

 新規の顧客獲得の武器は、何といっても価格だ。

 東急はグループ企業が提供するケーブルテレビやインターネット接続サービスと電気の“セット売り”で値引きをする。東京電力に月1万3000円程度(従量電灯B、40アンペア契約)を支払っている家庭で、年間1万円程度の節約が可能だ。

 東京ガスは東京電力に月1万円程度(従量電灯B、40アンペア契約)支払っている家庭で、ガスとセットにすることで年間4000~5000円、大阪ガスも関西電力に月1万円程度(従量電灯A)支払っている家庭で、セットにすることで年間6200円程度節約できる。

 地域独占で料金やサービス内容が硬直的だった従来の電力市場を開放し、電気料金を下げる。消費者にとってメリットの大きい大転換が今まさに起こっているのだ。