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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

投機資金の流れの変化で円高が進む可能性がある

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第45回】 2016年1月14日
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 国際的な投機資金の流れが大きく変化しており、これが世界の金融市場に大きな動きを与えている。

 日本では、株価が下落し、国債利回りが低下している。また、円高が進んでいる。これは、海外からの資金が日本に流入し、株式ではなく国債に向かっている結果と解釈できる。つまり、投機資金のリスクオフ現象が生じているのだ。

 この動きが日米金利差拡大より大きな影響をもてば、円高が進み、日本経済に大きな影響が及ぶ可能性がある。

市場動揺の原因は中国ではなく
アメリカの金融正常化

 一般には、現在の世界金融市場の動揺は、中国株式市場における株価下落が原因だと言われている。しかし、基本的な背景は、アメリカの金融正常化である。

 中国の株価下落とアメリカ金融正常化は、ほぼ同時に進行しているので、どちらが原因かの区別は難しい。

 しかし、以下に見るように、世界金融市場の大きな動きは、アメリカの金融政策の節目に生じている。そして、いま生じている現象は、この一連の動きの継続と考えられるのである。

 国際的な投機資金の動向変化は、いま突然始まった現象ではない。アメリカ金融政策の縮小と停止に伴って、これまで数年間にわたって生じていた。

 その始まりは2013年5月で、このとき、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長がテイパリング(金融緩和政策の段階的縮小)を示唆した。この影響で、新興国の通貨が減価し、株価も下落した。

 14年10月にFRBが正式に金融緩和の停止を宣言したが、それに先立ち、夏から秋にかけて、緩和停止を予測した投機資金に、以下に見るような大きな変動が起きた。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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