1回目のインタビューでは、主に建設機械市場から見た世界経済の行方について聞いた。第2回目では、どのような時代認識のもとに、コマツの改革が行われていったのかを中心に聞く。今では理路整然と行われているように見えるコマツの改革も、行動の中から知識が吸収され、その体系ができあがっていったものであることがわかる。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 麻生祐司、原英次郎)

―コマツの経営には、常に時代の変化をいかに認識し、それにどう対応するか、あるいは先取りするかという問題意識が、強いように思えます。

 本来なら、20世紀の最後あたりで、日本もアメリカもヨーロッパも、成長の限界まで達していた。アメリカの場合は、移民などによって人口が増えているので、それに見合った分くらいは成長余地があった。ヨーロッパはEUで地域的拡大をしたから、その分成長余地が出てきた。

「最初から理路整然と改革を進めたわけではない。<br />行動の中から吸収したものこそ本物の知識だ」<br />~コマツ・坂根正弘会長が語る世界経済の行方と我が経営(下)坂根会長は講演会も引き受ける。それは自分の思考を自分の言葉で、整理・体系化する手助けになるからだという。

 日本だけがその両方がなくて、成長が止まったままだ。ただ、基本は日本もアメリカもヨーロッパも、従来ペースの投資機会がなくなったので、お金が新興国に向かい始めたというのが大きなトレンドであり、それはリーマンショック後の今でも変わっていない。

 だから、今度のギリシャ問題が一段落ついたとしても、日米欧はそれほど成長しないと、私は思います。結局、アメリカですらも成長するためには、新興国の成長を取り入れなければならんし、日本はまさしくそうです。だから、新興国の成長を当てにしないと、先進国はもう成長できない状況になってきていることは、リーマンショックやギリシャ問題があろうとなかろうと、変わらない。