原油相場は下落を続けている。昨年12月後半は、米エネルギー情報局(EIA)の週次石油統計で原油在庫の減少が示されたこと(23日)などから底堅い動きも見られたが、上値は重かった。

 2016年に入ると、1月4日には、サウジアラビアとイランの対立激化を受けて、地政学的な不安から、一時原油相場は上昇した。2日にサウジがテロに関与した47人の死刑を執行したと発表し、その中にイスラム教シーア派の指導者ニムル師も含まれていたことから、シーア派の大国であるイランなどで反発が広がった。テヘランにあるサウジ大使館などが群衆に襲撃され、3日にはサウジはイランとの外交関係を断絶すると発表する事態となった。

 しかし、4日には中国の製造業購買担当者景況指数の悪化をきっかけに中国株が急落した。世界経済失速や原油需要鈍化への懸念が強まり、原油相場は、結局下落した。サウジとイランの対立はむしろ、OPEC(石油輸出国機構)内での政策協調を困難にし、減産の可能性を小さくするものとして受け止められた。

 6日にはEIAの統計でガソリン在庫が増加し、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油の受け渡し場所である米オクラホマ州クッシングの原油在庫も増加したこと、11日には再び中国株が急落したことを受けて、原油相場下落に拍車が掛かった。