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岸博幸の政策ウォッチ

高齢になっても進化し続けたデヴィッド・ボウイの偉業

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第25回】 2016年1月22日
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 英国のロック・ミュージシャンのデヴィッド・ボウイが1月10日に69歳で死去しました。このニュースは多くの方がご存知と思いますが、デヴィッド・ボウイが稀代のイノベーターであったことは意外と多く人が知らないのではないでしょうか。

“ボウイ債”というイノベーション

デヴィッド・ボウイが稀代のイノベーターであったことは意外と知られていない Photo:REUTERS/AFLO

 デヴィッド・ボウイが産み出したイノベーションというと、死後の追悼報道でもよく言及されているのは、“ボウイ債”という資産担保証券(Asset Backed Security)の発行です。

 これは、デヴィッド・ボウイが過去に発表したアルバム25作の合計278曲の楽曲の著作権、即ち楽曲利用が将来生み出すキャッシュフローを担保に発行された債券であり、米国で金融機関向けに5500万ドル(約65億円)で販売され、10年間で7.9%という比較的高い利回りを実現しました。

 このボウイ債が発行されたのは1997年なのですが、2つの観点から高く評価できます。

 まず音楽ビジネスの観点から考えると、当時はアーティストが資金調達しようとしても、レーベル(レコード会社)におカネを出してもらうか、自分の作品が生み出す利益を定期的に受け取るしかなく、大きな金額を一気に調達するのは非常に困難でした。

 そうした中で、ボウイ債はアップフロントで大きな金額の調達を可能にした点で斬新でした。だからこそ、その後にはジェームス・ブラウン、マービン・ゲイ、アイアン・メイデンといった著名アーティストもボウイ債と同様のアプローチで資金を調達しています。

 次に金融ビジネスの観点からは、ボウイ債はどんなアセットでも証券化してしまうという金融ビジネスの先駆けとなりました。実際、昨年はプロスポース選手の将来所得を証券化した金融商品まで登場し、今やこうした伝統的ではない資産(non-traditional asset)を担保にした債券は民間債券市場の1割を占めるという説もあるくらいです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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小泉政権時代に竹中平蔵氏の秘書官を務め、数々の構造改革を立案・実行した岸博幸氏がテレビや新聞が決して報じない知られざる政治の裏側を暴きます。

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