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為替市場透視眼鏡

米中先行き懸念で円安足踏み
強い米指標もドル高不発の場面

田中泰輔(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー)
2016年1月25日
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 「たい焼きの尻尾はマーケットにくれてやれ」。相場のおいしいところを首尾よく取ったら、最後の局面までがっつくな(深追いすると損失を被る)という相場格言だ。

 2012~14年、私はドル買いにたっぷり餡があると主唱した。15年、相場は尻尾の領域に近づいたが、まだ十分に餡があるうちに、投資の回転を速めて着実な利食いを勧めた。16年も15年の延長線で相場を見ている。ただし尻尾の餡は存外少ないかもと思わせる兆候が垣間見える。

 16年の幕開けは厳しいリスクオフ相場となった。昨年12月には米国で8年ぶりの利上げがあった。米利上げサイクル開始後の数カ月は、株式や新興国・資源などリスク資産が不安定化し、ドルは対円で下落する傾向がある。特に米国にインフレ懸念があり、利上げが加速しそうなときほど、そうだった。今回、米国にインフレ懸念はなく、利上げペースは緩慢と想定され、過去の事例も単純には当てはまらない。

 むしろ、米国も世界も経済が想定以上に鈍化しつつあることが気掛かりだ。昨年7~9月は、一連の中国ショックが世界的にリスクオフ機運をまん延させた。しかし、景気の軌道は過度の悲観を正当化するほど悪くなく、10~11月に相場は失地回復し、リスクオンに戻った。しかし逆にリスクオン相場が持続するほど経済に力強さはないため、12月の米利上げを契機に相場はまたリスクオフに振り戻された。

 昨今は、景気は良好だが利上げを嫌って一時的に株式やドル円が調整反落する過去のパターンと異なり、米国を含む世界経済の力不足が相場の先行き不安を強めつつある。

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FX、外貨投資家のニーズに応えた為替投資家向けコラム。執筆には第一線のエコノミストを迎え、為替相場の動向を分析、今後の展望を予測する。

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