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長内 厚のエレキの深層

運命の決算発表を前に、
シャープ「起死回生シナリオ」を検証する(上)

長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員]
【第1回】 2016年1月27日
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2月初頭の決算発表で何が起きる?
「勝負の1週間」を迎えたシャープを検証

経営危機の渕にあるシャープ。近いうちに大規模な再建策が発表される可能性はある
Photo by Naoyoshi Goto

 シャープ再建が待ったなしの状態になっている。いや、待ったなしなのは2012年から何も変わっていない。変わったのは、その間に優秀なシャープ社員が抜けていったことだけかもしれない。シャープの経営陣の最大の罪は、この数年間に何も決められなかったことだ。

 企業としてのシャープは死に体と言ってもいいだろう。あと数日で大規模なテコ入れが入るというのが大筋の見方だ。おそらくは、来週2月4日に予定されている2016年3月期第3四半期決算発表の際に、何らかの大規模な再建策が発表されるだろうし、そうでなければステークホルダーに対して示しがつかない。

 いや、そうした状況が2012年から続いてきたことを考えれば、来週もぐずぐずと何も決められないシャープのまま、という可能性もあるかもしれないが、それはシャープをより深刻な事態に追い込むだけであろう。

 ただ筆者は、経営組織として見た場合、現在の経営陣によるマネジメントが死に体とは思っているが、メーカーとして新しい製品を産み出しているモノづくり集団としてのシャープは、今でも高い組織能力を持っていると考えている。誤解のないよう詳しく説明したいのは、ここで筆者の言う「モノづくり集団」としてのシャープが持っている強みとは、組織能力であって技術であるとは言っていない。

 これまでも筆者は、各種メディアにおいてシャープのマネジメントについて辛口の論調で述べてきたが、シャープの製品や製品開発力について悪く言ったことは一度もない。むしろ、これほど長きにわたって経営の悪化が続き、トップが何も方針を出せず、社員のモチベーションも下がっているであろうシャープが、ゼロからの発想により、消費者が「なぜか欲しくなる」ワクワク感のある商品を生み出し続けてきたことを見ても、その組織能力はものすごく強いと思う。

 最近であれば、電球型のプラズマクラスターイオン発生器だ。なるほど、その手があったか。トイレのような狭い空間に、天井の電球ソケットに取り付けるだけの電球型消臭機を、シャープが得意なLED照明とプラズマクラスターイオン技術を活用してつくるとはとても面白いし、聞いただけで欲しくなる。これがシャープの組織能力である。

 ここには、シャープのLED技術やプラズマクラスター技術が活用はされているが、両者とも新技術ではない。何年も前から存在していた技術だ。ただ、それを電球型にするというアイディアは、シャープならではと言っていいだろう。言うなれば、シャープの財産とは、こうしたゼロから商品を生み出す商品コンセプト構想力、もう少し平たく言えば、商品企画力である。

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長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員]

京都大学大学院修了・博士(経済学)。1997年ソニー株式会社入社後、映像関連機器部門で商品企画、技術企画、事業本部長付商品戦略担当、ソニーユニバーシティ研究生などを歴任。その後、神戸大学経済経営研究所准教授を経て2011年より早稲田大学ビジネススクール准教授。2016年より現職。早稲田大学IT戦略研究所研究員・早稲田大学台湾研究所研究員を兼務。組織学会評議員(広報委員会担当)、ハウス食品グループ本社株式会社中央研究所顧問、(財)交流協会貿易経済部日台ビジネスアライアンス委員。(長内研究室ホームページ:www.f.waseda.jp/osanaia/

 


長内 厚のエレキの深層

グローバル競争や異業種参入が激化するなか、従来の日本型モノづくりに限界が見え始めたエレキ産業は、今まさに岐路に立たされている。同じエレキ企業であっても、ビジネスモデルの違いによって、経営面で大きな明暗が分かれるケースも見られる。日本のエレキ産業は新たな時代を生き延び、再び世界の頂点を目指すことができるのか。電機業界分析の第一人者である著者が、毎回旬のテーマを解説しながら、独自の視点から「エレキの深層」に迫る。

「長内 厚のエレキの深層」

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