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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

シリコンバレーの名物女性経営者、政界進出の意味

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第33回】 2010年6月24日
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 米国では11月に中間選挙がある。このときにカリフォルニア州知事の選挙と上院議員の選出が行われる。現知事はあの有名なシュワルツェネッガー(共和党出身、元俳優、61歳)である。来年1月に任期満了となるため、新たに候補者を選出しなければならない。候補者選びの民主党と共和党の予備選挙が6月9日に開催された。

 民主党ではベテラン政治家ジェリー・ブラウン(72歳)が選出された。同氏は1975-83年にカリフォルニア州知事を務めことがあり二度目の知事挑戦である。現在は州の司法長官を務めている。知名度の高さを生かして84%の票を獲得して民主党の州知事候補になった。

 共和党では、新人メグ・ホイットマン女史(53歳)が選出された。オンライン・オークションの代表企業イー・ベイ(eBay)の社長を務めていたビジネス・ウーマンである。政治家としての経験はない。得票率は64%と対立候補に37%の大差をつけての勝利だった。

 メグ・ホイットマンは、ニューヨーク州ロング・アイランドの出身で、プリンストン大学を卒業後、ハーバード経営大学院でMBAを取った才媛である。社会人になってからは、プロクター・アンド・ギャンブル社、ウォルト・ディズニー社等に勤務したあと、98年から2008年までイー・ベイの社長を務めていた。

 彼女が社長になったときのイー・ベイの社員はたった30人で、売上高も4百万ドル(3億6000万円)ほどのベンチャー企業だった。それを10年間で従業員1万5000人、売上高80億ドル(7200億円)の大企業に育て上げた。まさに絵に描いたようなサクセス・ストーリーである。

 彼女はテレビ・ラジオを通じて大々的な選挙宣伝をした。「今のカリフォルニア州政府を立て直すには自分しかいない、私のビジネス経験がカリフォルニアを救う」。彼女がこの選挙戦で注ぎ込んだ自己資金は7100万ドル(64億円)と前代未聞の規模だった。皆シリコンバレーの金力に驚くとともに、草の根の運動家からは「金で票を買った」と不評を買った。

 今秋のカリフォルニア知事の選挙戦は、政治経験豊富なベテラン候補者とビジネスの経験しかない新人候補者で争われる。

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安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ


シリコンバレーで考える 安藤茂彌

シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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