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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

マイナス金利は量的緩和と矛盾
欧州でも実体経済に効果なし

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第48回】 2016年2月4日
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マイナス金利では欧州が先行したが、効果はどうだったのか?

 日本銀行は、マイナス金利を導入した。

 これによって、短期金利が低下し、長期金利も低下するだろう。円安だけが目的なら、国債購入は必要なくなる。これは、量的緩和政策が行き詰まっていることから、金利政策へ転換しようとするものだ。

 しかし、銀行の収益が悪化するので、国債購入が続く可能性が高く、矛盾が生じる。

 ヨーロッパの経験では、マイナス金利に実体経済を活性化する効果はない。

 なお、マイナス金利政策の是非については、野口塾(私が主催する私的研究会)において昨年6月に議論を行ない、その際の報告「マイナス金利と金融政策」を9月17日に私のホームページに掲載した。ただし、以下で述べる私の考えは、この報告の考えとは異なるところもある。

当座預金付利をプラスからマイナスに転換
狙いは銀行の貸出増加を促すこと

 日本銀行は、マイナス金利を導入した。これまで、銀行が日本銀行に保有する当座預金に対してプラスの付利をしていたが、それを転換し、つぎのような仕組にする。

 当座預金を三層構造に分ける。第一の「基礎残高」(約212兆円)は、2015年の超過準備の平均額に固定され、付利は、従来通り0.1%。

 「マクロ加算残高」(約38兆円)は、所要準備などであり、金利はゼロ。

 「政策金利残高」は、当座預金全体から「基礎残高」と「マクロ加算残高」を差し引いた残額であり、付利はマイナス0.1%。

 したがって、今後の超過準備残高がすべてマイナス0.1%となるわけではない。

 この政策の狙いは、銀行の貸出増加を促すことであるとされている。

 以下ではこれがどのような効果をもたらすかを検討することとしよう。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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