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アベノミクスの窮地を示すマイナス金利への懸念

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第413回】 2016年2月2日
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金融政策への過度な期待は危険
マイナス面も無視できない

黒田総裁は従来、マイナス金利導入には否定的な発言をしていた Photo:REUTERS/AFLO

 金融市場の不安定な動向が続く中、金融政策に注目が集まっている。1月21日、欧州中央銀行(ECB)理事会でドラギ総裁が追加緩和の可能性を表明した。そして、29日には日銀が予想外のマイナス金利の導入を発表した。これらの政策は、それまで不安定だった金融市場の動向に変化をもたらした。

 ただ、現在のように、世界的に過剰生産能力が存在する状況下、金融政策だけで経済活動を活性化させることは難しい。投資家の金融政策への過度な期待は、ある意味では危険な兆候だ。

 金融緩和策は、金利の引き下げや資金供給を通して、消費者や企業などが経済活動を活発化する環境を整備することが主な目的だ。短期的には、潤沢な資金によって資産価格の上昇を促進する効果を持つ。

 株式や不動産などの価格上昇によって、一時的に消費者や企業経営者の心理は好転する。これは景気にはプラスだ。しかし、実体経済が本来の意味で回復しない限り、景気回復のプロセスを続けることはできない。金融緩和策の本当の意味は、本格的な景気回復プロセスが始動するまで“時間を借りること”と考えるべきだ。

 一方、金融政策には無視できないマイナス面もある。潤沢な資金を供給するため、株式市場に多額の投資資金が流入してバブルが形成されやすくなる。バブルができる時は良いが、崩壊すると景気の低迷が続くことにもなりかねない。

 今年に入って原油価格の下落が続いたこともあり、アベノミクスの最大の成果だった円安・株高には変化が見え始めた。そうした状況に歯止めをかけるため、日銀はマイナス金利を導入した。それと同時に日銀は、物価目標の達成時期も2017年度前半頃に先送りした。そうした日銀の行動は、アベノミクスが徐々に窮地に追い込まれつつあることを物語っている。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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