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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国人客を感動させる日本の医療サービス

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第271回】 2016年2月4日
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 先日、BS11の報道ライブ21というテレビ番組に、ゲストとして出演した。テーマは、ホットなインバウンドだ。もう一人のゲストは三菱UFJリサーチ・アンド・コンサルティングの妹尾康志主任研究員である

 番組の中で、妹尾氏が、日本のメディカル・ツーリズムに触れ、つぎのようなコメントを出した。

 「日本のメディカル・ツーリズムはいっとき、思った通りに進まなかったが、この頃は、たいへん人気を得ている」

 確かにそうだったと思う。メディカル・ツーリズムをスタートさせたとき、日本側は中国の富裕層つまり金持ちの人たちだけをターゲットとする傾向があった。そのため、観光商品としてはあまり市場を広げることができなかった。

 中国においても特別の医療サービスを得られる環境にいる金持ちの人たちは、日本が期待していたほど日本の医療サービスに関心を払わなかった。実際、日本の医療サービスにより熱いまなざしを注いだのは中国の中産階級層の人たちだ。

治療を受けるための
病院の受付番号もカネしだい

 中国では、医療分野がもっとも失敗した分野の一つ、と言われている。今年の1月下旬、ある動画が中国のネット世界で信じられないほどの勢いでシェアされていった。

 携帯電話で撮影したこの動画のなかでは、ある若い女性が北京の広安門中医院という病院の玄関先で、サービス不在だけではなく、カネばかり追い求める病院側の体制の問題点とサービスの悪さを痛烈に批判している。

 1月中旬のことだ。東北部に住むこの若い女性は病気にかかったお母さんをその病院の専門医に診てもらおうと考えた。その医師の診察受付番号をもらうために、病院で夜を徹して列に並んだ。彼女の順位は2番目だったが、翌日の朝、病院が受付番号の配布を始めたときにはすでに、その受付番号はなんと全部配布されてしまったのだ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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