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上場企業は取締役全員の報酬を開示すべきだ

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第136回】 2010年6月30日
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「1億円」を巡って過熱する報道

 6月29日は3月期決算企業の株主総会集中日だ。今年の主な話題は上場企業の1億円を超える役員報酬の個別開示だ。

 「我が社には1億円プレーヤーが何人いるのか?」

 「ウチの社長の報酬は同業他社と較べて高いのか、安いのか?」

 「あの人があんなに貰っているのか!」

 「あの人は、本当に1億円貰っていないのか?」

等々、ビジネスパーソンの話題を集めている。

 これは、亀井静香前金融大臣の強い後押しによって実現したものだった。推測するに、亀井氏の頭の中には、近年、従業員に対する支払い給与総額が抑えられる傾向の下、上場会社の経営者の報酬水準がじわじわ上昇している事に対する警鐘の意図があったと思う。

 適当な統計が見当たらないが、我が国の大企業の経営者の報酬水準は傾向として上昇している。一昔前までは、大企業の社長でもサラリーマン社長の場合、「前半の数千万円」だったものが、近年では「後半の数千万円」が相場になっており、一連の報道にある通り大手企業では1億円を超える水準が珍しくなくなってきた。

 一方、サブプライム問題以前の景気拡大期にあっても、従業員に対する給与支払総額は殆ど伸びていない。正社員の非正規労働者への置き換えが進んだことが直接的には大きな原因だったが、景気が拡大して企業業績が改善しても、経営者は株主への利益配分を重視し、それと共にちゃっかりと自分達の報酬は上げていたのだ。

 こうした動きを直接的に主導したのは経営者達だが、経営者の報酬の上昇と株主への利益配分強化が実現したのだから、構図としては、株主による経営者の買収が成功したとも考えられる。

 背景には、主に米国の企業経営者の高額報酬を思うと、日本の経営者の報酬は高くないという思いがあっただろうし、もちろん、経営者であってもなくても、より多くの報酬を貰いたいと思うのは自然なことだ。

 こうした中で、個々の経営者が報酬に見合う働きをしているかが問われるのは自然なことだ。後述のように、筆者はこれだけでは中途半端だと思うが、1億円以上の役員報酬の個別開示は、あるべき方向に一歩踏み出すいい制度変更だと評価したい。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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