「リオ、決定だべ~!」
1月31日に行われた大阪国際女子マラソンを日本陸連が決めた五輪派遣設定記録を上まわる2時間22分17秒で制した福士加代子が、お立ち台で喜びを爆発させ叫んだのが、この言葉だ。
単に設定記録をクリアしただけでなく、日本歴代7位となる文句なしの好タイム。レースを見ていたファンも「福士はリオ五輪確定」と思ったに違いない。
ところが、陸連は福士の代表内定を出さず、最後の選考レース、名古屋ウイメンズマラソン(3月13日)で、これを上まわるタイムで走る日本選手が出た場合、落選もあり得るとした。「リオ・決定だべ~!」の喜びを吹き飛ばされてしまったのだ。
これを受けて福士陣営は仰天プランを発表する。リオ出場を確定させるため、名古屋の出場を示唆したのだ。
最強の市民ランナーといわれる男子の川内優輝のように毎週のようにレースを走る選手もいるが、消耗の激しいマラソン、しかも重要な意味を持つ代表選考レースをわずか1ヵ月半の間隔で走るのは、どう考えても無茶だ。
福士は33歳のベテランだが、ここへきて自己最高を出したように選手として脂が乗ってきている。2013年のモスクワ世界陸上のマラソンで銅メダルを獲得した実績もある。そんな実力派で期待値の高い選手が、名古屋も走らざるを得ない状況に追い込まれているわけだ。憤慨するマラソンファンも多く、ネットでは選考方法への疑問や福士の気持ちを案じる声が飛び交っている。
「適性のある競技者を専門的観点から判断」
曖昧で矛盾もはらむ日本陸連の選考基準
このような事態が生じたのは、やはり五輪派遣選手の選考基準に曖昧部分が多いからだ。
陸連がリオ五輪の代表選考の方針を発表したのは2013年6月。その考え方は次のようなものだ。