このところ、スポーツ界では馴染みがなかった企業チームの名前を目にする機会が増えている。
たとえばこの4月まで試合が行われていたバレーボール・Vプレミアリーグ女子で3位と健闘した上尾メディックス。バレーボールファンなら当然知っているだろうが、多くの人は、そんなチームあったの?と思うはずだ。埼玉県上尾市に本拠を置く上尾中央医科グループ、つまり病院が運営するチームなのだ。
1978年に上尾中央病院のバレーボール部として設立されたが、しばらくは市内の大会で活動するレベルだった。2001年に実業団のチームとして強化に努めるようになり、すぐにプレミアの下のカテゴリーであるVチャレンジリーグに昇格。2006年にはチーム名を「上尾メディックス」とし選手の補強などもしたが、Vチャレンジリーグを勝ち上がることはできず、昨年やっとVプレミアに昇格した。だが、その初年度のレギュラーラウンドで8チーム中4位、ファイナル6では3位となり、NEC、久光製薬に次いで3位に入ったのだ。
Vプレミアリーグ男子ではファイナル6に勝ち進んだジェイテクトも馴染みのない会社だろう。2006年に豊田工機と光洋精工が合併してできたトヨタグループの自動車部品製造会社。このチームは一昨年Vプレミアリーグに昇格したが最下位。昨年、実力を上げて6位まで順位を上げた。上尾メディックスもジェイテクトも今後に期待が持てるチーム。Vプレミアリーグに定着すれば、企業名も浸透していくはずだ。
長距離を中心とした陸上競技には新たな企業の参入が相次いでいる。2013年には全国にビジネスホテルを展開するルートイン・ホテルズが女子陸上部を創設した。なお、ルートインはスポーツ支援活動には熱心で、今年からJリーグのトップパートナー(スポンサー)になった。また、北陸・信越・関東・東北にチームがあるプロ野球独立リーグ・BCリーグのネーミングライツも取得。Jリーグの観戦チケットを持参するとホテル料金を割引したり、BCリーグ各球団ファンクラブ会員には特典をつけるサービスも行っている。JリーグやBCリーグのチームの本拠地には大体ルートインのホテルがある。スポーツに理解があるホテルグループというイメージを演出し、泊まりがけで観戦に来るファンを顧客に取り込もうという戦略だろう。