ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今週のキーワード 真壁昭夫

黒田総裁の強気が引き起こすマネーゲームへの危惧

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第414回】 2016年2月9日
1
nextpage

マイナス金利導入の発表後
金融市場は一段と不安定化

マイナス金利導入発表後も株価は乱高下が続いている

 2月16日から実施予定のマイナス金利には、「日銀はここまで踏み込むのか」との驚きと、金融政策依存度の高いアベノミクスの限界の鮮明化を感じる。だが冷静に考えると、本来、これに金融市場に大きなインパクトを与えるほどの効果は期待できない。

 実際、日銀が予想外のマイナス金利導入を発表して以降、株式や為替などの金融市場の動きは一段と不安定な展開になっている。

 今回、これほど金融市場に大きな波紋を与えた一つの理由としては、1月21日、黒田総裁が参院予算委員会の場で、「マイナス金利は考えていない」と表明したにもかかわらず、わずか8日後、突如、マイナス金利導入を発表したことがある。

 また、主要国の積極的な金融緩和策の実施にもかかわらず、世界経済の先行きに対する不透明感が払拭できないことも忘れてはならない。中国経済の先行き不安や原油価格の下落など、今まで金融市場を揺さぶってきた懸念はほとんど解消されていない。むしろ今後、そうした懸念事項がさらに膨らむ可能性すら想定される。

 そうした状況下、日銀の黒田総裁は臆することなく「物価上昇目標を達成するために何でもする」との姿勢を変えず、金融政策の限界はないとも明言している。その雄姿は、頼もしいとさえ言える。

 恐らく、黒田総裁の本意としては、強気の発言を根気よく続けていると、いずれ中国経済が回復の兆しを鮮明化するか、あるいは、世界経済に明るさが見え始め、原油価格も上昇に転じるチャンスがあると見ているのかもしれない。

 ただ、黒田総裁がバズーカ砲を発射するたびに、金融市場で活発なマネーゲームが展開されることになる。その弊害は小さくない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
ビジネスプロフェッショナルの方必見!年収2,000万円以上の求人特集
ビジネスプロフェッショナルの方必見!
年収2,000万円以上の求人特集

管理職、経営、スペシャリストなどのキーポジションを国内外の優良・成長企業が求めています。まずはあなたの業界の求人を覗いてみませんか?[PR]

経営課題解決まとめ企業経営・組織マネジメントに役立つ記事をテーマごとにセレクトしました

クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

注目のトピックスPR

話題の記事

真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


今週のキーワード 真壁昭夫

経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。

「今週のキーワード 真壁昭夫」

⇒バックナンバー一覧