2月9日には、長期金利(10年国債利回り)が初のマイナスを記録した(写真はイメージ)

 マイナス金利は、今後どのように推移するだろうか?

 イールドカーブ(金利の期間構造を表す曲線)を分析すると、市場の予想は、つぎのとおりだ。第1に、数年間は続く。しかし、マイナス幅が拡大するのではなく、むしろ縮小する。そして、数年後にはプラス金利に復帰する。

 こうしたことを考慮すると、マイナス金利が経済の構造を大きく変えるようなことはないだろう。

10年国債まで利回りがマイナスになったが
マイナス金利は10年間も続くわけではない

 日本銀行のマイナス金利導入によって、金利は急激に下落した。1年国債の場合は、図表1のとおりである。2月1日から急激に下落したことが分かる(ただし、マイナス金利導入前の2015年10月下旬からマイナスになっていることにも注意が必要だ)。

 また、2月9日には、10年国債までマイナスとなった。このように長期の金利までマイナスになったのは、衝撃的だった。

◆図表1:1年国債利回りの推移

(資料)財務省、金利情報

 以上は、広く報道されている。あまり注目されていないが重要なのは、イールドカーブの形状の変化だ。

 イールドカーブとは、金利の期間構造(期間が長くなると金利がどのように変化するかという構造)を表す曲線である。この分析によって、さまざまな情報を得ることができる。

 例えば、上述のように長期の金利もマイナスになったことから、マイナス金利は、今後10年間も継続すると考えた人がいるかもしれない。しかし、イールドカーブを分析すると、そうではないことが分かるのである。