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社外プレゼンの資料作成術
【第1回】 2016年2月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
前田鎌利

孫正義氏のプレゼン資料の元担当者が断言する
「口下手」のほうがプレゼンの達人になれる理由!

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営業、説明会、発表会……。社外プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?そこで、ソフトバンクで孫正義氏のプレゼン資料をつくった前田鎌利さんに、秘伝の「プレゼン資料術」を全公開する『社外プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました(2月19日発売)。本連載では、同書のなかから抜粋しながら、その「シンプル&ロジカル」かつ「相手の心」を動かす、「超」実践的なノウハウをお伝えします!

孫正義社長に鍛えられた「心」を動かすプレゼン術

 営業、説明会、発表会、コンペ、講演会、IR……。
 社外に向けてプレゼンテーションを行うスキルは、ビジネスパーソンにとって極めて重要です。どんなに優れた商品やサービスであっても、それをどのように伝えるかによって、お客様や取引先の反応には天地の差が生まれます。伝えたい内容を短時間で理解していただき、「購入しよう」「前向きに検討しよう」と思っていただけるプレゼンができるかどうか。そのスキルの有無は、仕事の成果を大きく左右し、キャリアにも大きな影響を及ぼすのです。

 ところが、プレゼンに苦手意識をもつ人が多いのではないでしょうか?
 何を隠そう、私自身がそうでした。どちらかというと控え目な性格ですから、人前で話すことが苦手。しかも口下手ですから、なおさらです。にもかかわらず、最初に入った会社で与えられた仕事は「飛び込み営業」。門前払いされるのが当たり前という状況のなか、なんとかお客様に認めていただこうと、紙の営業資料を広げながら懸命にプレゼンをしたものです。

 ボーダフォンで働くようになると、外資系ということもあり、他社に先駆けてパワーポイントなどのプレゼン・ソフトを使った営業スタイルにチャレンジ。参考になる書籍もない時代でしたから、試行錯誤を繰り返すしかありませんでした。

 もちろん、失敗の連続。「あれもこれも」と内容を詰め込み過ぎて、「要するに何が言いたいの?」と叱責されたこともありますし、やたらとアニメーションを使って失笑を買ったこともあります。先方の意思決定者に中座されてしまったことすらありました。

 そんな失敗を積み重ねることで、少しずつプレゼン・スキルが磨かれていったのでしょう。ボーダフォンがソフトバンクに買収されるころには、それなりの自信をもってプレゼンができるようになっていました。営業活動のみならず、代理店向けの営業方針説明会などのプレゼン資料を担当させていただく機会も増加。一定の評価をいただくことができました。そして、そのプレゼン・スキルが、私に大きなチャンスをもたらしました。

 社内でのプレゼンを勝ち抜き、ソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミアの第1期生に選抜されたのです。ここでは、ソフトバンクの経営課題について、孫社長になったつもりで事業提案をすることが求められます。一社員にとっては荷が重いタスクでしたが、光栄なことに私のプレゼンが第1位を獲得。それを機に、グループ会社に役員として出向を命じられるなど数多くの事業を担当。キャリアが一気に拓けたのです。

 また、孫社長が社外に向けて行うプレゼンの資料作成も任せていただきました。企業トップのプレゼンですから、重みが違います。孫社長から直々に厳しいご指摘をいただきながら、何度も何度も資料をつくり直したものです。

 これが、非常に勉強になりました。ご存知のとおり、孫社長は情熱的な人物です。どうすれば、その情熱を聴衆の心に届けることができるか。それを、徹底的に考え抜く孫社長の姿勢から、実に多くのことを学ばせていただきました。そして、私なりのプレゼン術を確立することができたのです。

プレゼンに「上手な話し方」は不要

 2月18日に発売する『社外プレゼンの資料作成術』は、私が培ってきた社外プレゼン術のすべてを公開するものです。

 社外プレゼンにはさまざまな種類がありますが、本書では、個別のお客様を対象とする「営業プレゼン」と、複数のお客様や取引先を対象とする「説明会プレゼン」を扱います。これらが、一般のビジネスパーソンにとって最も身近なプレゼンであり、社外プレゼンの基本でもあるからです。そのノウハウを習得すれば、それ以外のプレゼンにも必ず対応できるようになります。

 本書でお伝えするノウハウは、とてもシンプルなものです。
 いくつかのポイントをしっかりと把握しさえすれば、誰でも飛躍的にプレゼン・スキルを向上させることができます。そして、自信をもってプレゼンをすることができるようになります。

 そのために、まず解いていただきたい誤解があります。
 プレゼンというと、「話し方」が大事とよく言われます。私も、若いころはそう思っていました。人前に出るのが苦手で口下手な私は、そのことに強いコンプレックスを感じていたものです。

 しかし、今は違います。一般のビジネスパーソンは、なまじ上手に話せないほうがいいと思っています。たとえば、営業では何度も同じプレゼンを繰り返しますから、誰でも徐々に上手に話せるようになります。しかし、実はこれがマイナスに働きます。なぜなら、お客様が「営業トークをこなしているだけ?」と不信感を持つからです。だから、私は、プレゼンに慣れてくると、あえて故郷の方言を使ったりしたものです。「朴訥さ」は武器なのです。

 説明会もそうです。私は、多くの聴衆を前にプレゼンをしたときに、「話が上手ですね」と言われると不安になります。なぜなら、「話し方」に意識が向かっているということは、プレゼン内容が心に残っていない証拠だからです。実際、「話が上手ですね」という感想が多いときは、提案内容に対するリアクションが少ないと実感しています。「話し方」より大事なものがあるのです。

 私たちは、スティーブ・ジョブズでもなければ、孫正義氏でもありません。普通のビジネスパーソンです。生半可に彼らのマネをしたところで、相手を白けさせるだけ。かえって、大事なことが伝わらなくなるのです。大事なのは、相手に対する敬意と誠意、そしてプレゼン内容に対する「念い」です。それさえあれば、口下手でも大丈夫。ちゃんと、相手の心に伝わるのです。

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前田鎌利 

まえだ・かまり 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。


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