先日、久しぶりに岡山市で講演をした。やや珍しかったのは今度の主催者が設立35周年となる岡山市日中友好協会だったことだ。テーマは私の提案を受け入れ、「中国・14億人市場へのアプローチ」というものにした。インバウンドと地方経済の活性化を中心に、日中交流の新しい時代に即した交流のスタイルと内容についていろいろと語られた。

 年間、相当数の講演会をこなしているが、日中友好協会と名乗る団体から声をかけられるのが意外と少ない。だから「珍しかった」という表現を使ったのだ。

日中の交流は
時代の変遷で大きく変化した

 私に言わせると、日中間は外交や領土などの分野で対立している問題を抱えているだけではなく、交流の内容なども時代の変遷とともに著しく変化している。大きく言えば、次のようないくつかの変化が起こっているのではないか、と私は見る。

1)ハードからソフトへ
 1978年、改革・開放時代を迎えてから、中国と日本との経済交流は主に「重厚長大」系の分野に集中してきた。具体的に言うと、鉄鋼業、化学工業、造船、家電、自動車、新幹線などがメインだった。前期には、宝山製鉄所が、後期には、中国版新幹線の高速鉄道がその代表的な存在だ。

日中交流はハードからソフト、大から小へ変化した爆買いで人気なのは炊飯器などの小物家電

 しかし、いまは「軽薄短小」系に移行している傾向が濃厚に見えてきている。“爆買い”とやや揶揄されている中国人観光客の買い物の対象を見ると、化粧品、炊飯器を中心とした家電の小物製品、健康食品、薬品、衣料品、粉ミルク、オムツなどが主流をなしている。

 企業の行動を見ると、技術、環境保護、特許、ノウハウなどへの関心が著しく高まっている。