国土交通省も認めた
「空き家調査は難しい」

そう・たけし
株式会社リクルート住まいカンパニー 住まい研究所所長 65年北九州市生まれ。87年九州工業大学卒業、リクルート入社。96年WATTSサービスグループマネジャー、03年ForRent.jp編集長、05年R25式モバイル編集長、06年株式会社リクルートフォレントインシュア代表取締役社長等を経て12年10月より現職。都市住宅学会員、日本建築学会員、日本社会福祉学会員。ITストラテジスト。福岡県築上町政策アドバイザー。研究分野は空き家、住宅セーフティネット、賃貸住宅関連制度など。

 空き家調査は住調だけではなく、自治体による調査、さらに国土交通省による調査も行われている。例えば、東京23区で唯一「消滅可能性都市」とされた豊島区の12年の空き家実態調査の結果では、「空き家が多いと想定される地区をあらかじめ抽出した上で調査を実施した」結果、「空き家の可能性の高い住宅の比率」は、わずか1.6%とされている。

 豊島区調査の対象は戸建て住宅中心であるものの、08年住調での豊島区の空き家率12.9%、13年住調の15.8%とあまりに乖離が大きい。

 また、国土交通省の09年の空家実態調査には、「現地調査開始後に空家を発見できない調査区があるとの報告を調査員から受け」「発見数は計画より著しく小さい値となった」「集合住宅の空家は外観からは確認できなかった。集合住宅はオートロックが多く中に入れなかった」といった記述が見られ、空き家調査の難しさを端的に表している。

 では、空き家の実態はどのように把握することができるのだろうか。戸建て住宅については自治体調査等で、ある程度把握されているが、都市部では共同住宅が空き家の半数以上を占める。相続税対策を目的とした新築着工が多すぎると指摘されることも多い、賃貸用住宅での空き家調査・研究は極めて少ない。

 筆者は、共同住宅の空き家の実態把握も重要であると考え、当社が運営する不動産情報サイトSUUMOの14年6月10日掲載データを用いて共同住宅の賃貸募集率を算出し、東京23区では5.4~8.7%という値を得た。23区平均では6.9%と、単純な比較はできないものの、13年住調の賃貸空き家率15.7%の半分以下である。

 この計算では分母となる住戸数はゼンリンデータを用いており、08~14年のSUUMOデータのカバー率は棟ベースで69.4%、戸数ベースで79.8%となっている。下図は東京23区の町丁目別のSUUMOデータを用いた共同住宅募集率を示したものである。23区内では募集率が10%を超える地域は非常に少なくなっている。

  これは、賃貸管理の業界団体である日本賃貸住宅管理協会の発表している、日管協短観での空き家率約5~8%と概ね一致する。

 また、分母に13年住調の戸数、分子に2010年国勢調査の世帯数を用いて全国の空き家率を計算してみると、13年住調の13.5%に対して9.8%となり、分子に13年住民基本台帳の世帯数を当てはめると8.3%となる。

 これらの推定結果に加え、自治体調査では住調よりも低い空き家率が多数報告されていること、居住以外に事務所や物置として使用されている住戸等が存在することなどを考慮すれば、全国の空き家率は10%以下、空き家数は400~600万戸である可能性が高い。