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日本に巣食う「学歴病」の正体

有名美大卒クリエイターに学ぶ、
学歴が通用しない世界の生き残り哲学(上)

ザリガニワークス代表取締役・坂本嘉種氏、武笠太郎氏に聞く

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第8回】 2016年3月1日
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 今回は、「学歴を意識することはない」と明言するクリエイターの“学歴論”に迫りたい。話を聞いたのは、有限会社ザリガニワークスを共同経営する2人である。同社はユニークな玩具や脱力系グッズを企画・制作し、注目を集めている。

 2人とも名門の美大を卒業しているものの、「作品をつくる際、それが有利にも不利にもなっていない」「自らがいる世界が完全な実力主義であり、結果こそが大切」と強調する。学生や会社員からすると違う世界の話に聞こえるかもしれないが、2人は時代を先取りして生きているとも言える。彼らが語る学歴論を通じて、世間に蔓延する「学歴病」の正体を炙り出したい。


気鋭のクリエイター2人が語る
「学歴不要」の成功哲学とは?

ザリガニワークスを共同経営者する武笠太郎氏(左)と坂本嘉種氏。ユニークな玩具や脱力系グッズを企画・制作し、注目を集める2人が語る「学歴不要」の成功哲学とは?

 坂本嘉種さん(45)と武笠太郎さん(42)が、共同経営会社・ザリガニワークスを創業したのは2004年。今では、多くのメーカーや広告代理店、テレビ局、出版社などから依頼を受け、製品や商品などの企画やデザイン、プロデュースに関わる。大ヒット作となった「コレジャナイロボ」や、シリーズで300万個売れた「土下座ストラップ」などはよく知られる。

 ひたむきに面白さを追求する仕事の姿勢や生き方が注目を浴びて、最近はテレビ、ラジオ、雑誌、インターネットなどにも登場する。2013年には、『遊んで暮らす コレジャナイ仕事術』(パルコ出版)も著した。アイドルグループ「石膏ボーイズ」の企画・デザインにも力を注ぐ。専門学校では学生を相手に教鞭を執り、人気講師になっている。

 2人は、多摩美術大学グラフィックデザイン科にいる頃に知り合った。ともに音楽サークルに籍を置く、先輩・後輩の間柄だった。卒業後しばらくは、別の会社に勤めていた。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


日本に巣食う「学歴病」の正体

 今の日本には、「学歴」を基に個人を評価することが「時代遅れ」という風潮がある。しかし、表には出にくくなっても、他者の学歴に対する興味や差別意識、自分の学歴に対する優越感、劣等感などは、今も昔も変わらずに人々の中に根付いている。

たとえば日本企業の中には、採用において人事が学生に学歴を聞かない、社員の配属、人事評価、昇格、あるいは左遷や降格に際しては仕事における個人の能力や成果のみを参考にする、という考え方が広まっている。しかし実際には、学歴によって選別しているとしか思えない不当な人事はまだまだ多く、学閥のようなコミュニティもいまだに根強く存在する。学歴が表向きに語られなくなったことで、「何を基準に人を判断すればいいのか」「自分は何を基準に判断されているのか」がわかりずらくなり、戸惑いも生まれている。こうした状況は、時として、人間関係における閉塞感やトラブルを招くこともある。

 これまでの取材で筆者は、学歴に関する実に多くのビジネスパーソンの悲喜こもごもを見て来た。学歴に翻弄される彼らの姿は、まるで「学歴病」に憑りつかれているようだった。学歴は「古くて新しい問題」なのだ。本連載では、そうした「学歴病」の正体を検証しながら、これからの時代に我々が意識すべき価値基準の在り方を考える。

「日本に巣食う「学歴病」の正体」

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