7月11日に行なわれた参議院選挙で、民主党の獲得議席は44議席に留まり、自由民主党を7議席も下回った。非改選議席と国民新党の議席を含めて、参議院で過半数を確保できなかった民主党は、いよいよ政策運営において苦戦を強いられることになる。衆議院で第一党の勢力を誇る民主党は、なぜ敗北したのか? そして、今後彼らがとるべき対策は? 慶應義塾大学法学部の小林良彰教授に、民主党が抱える「真の課題」を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部)
――7月11日に行なわれた参議院選挙で、民主党の獲得議席は44議席に留まり、自由民主党を7議席も下回った。当初予想されていた通り、民主党の政策運営が岐路に立たされる可能性が、いよいよ強まっている。この結果をどう総括するか?
今回民主党は、非改選議席や国民新党の議席を含めても、参議院で過半数を確保することができず、たとえ社民党が閣外協力しても、過半数には届かない。しかも、当選者数でも自民党を下回る敗北であった。
これで、前回参院選後の自公連立政権と同じ立場に置かれたわけだが、昨年夏まで自公政権は衆議院で3分の2の議席を確保していたために、重要法案が参議院で否決されても衆議院で再可決する道があった。
しかし、今の民主党連立政権は、社民党が連立を離脱した時点で衆議院における「3分の2」を失っているために、この手段をとることができない。
このため、今後、民主党は、自民党、公明党、みんなの党といった各党との政策協議を呼びかけなければならないが、野党がこれに応じず、「直近の民意に従うべき」として、衆議院の早期解散総選挙を求めてくる可能性がある。
――民主党が敗北した理由は何だろうか? やはり菅直人首相の消費税引き上げ発言や、先行きが不透明な普天間基地の移設問題がネックになったのだろうか?
表面的には、菅首相の消費税発言が最大の敗因のようにみえるが、必ずしもそれだけではない。実は、消費税10%は自民党が言い始めたことであり、民主党が議席を減らして自民党が増やした説明としては十分ではない。