8月30日の菅内閣総辞職に向け、後継首相を決める民主党代表選の日程が、27日告示、29日投開票で固まった。現在、出馬に意欲を示しているのは、小沢鋭仁・元環境相、海江田万里・経産相、鹿野道彦・農水相、樽床伸二・元国対委員長、野田佳彦・財務相、馬渕澄夫・前国交相ら。ここに来て、前原誠司・前外相も出馬を正式表明し、代表選は群雄割拠の様相を呈している。

財政再建、大震災からの復興、新たなエネルギー政策への移行、円高対策など、多くの課題を抱える日本において、次期内閣の責任は重大だ。確固たる政策遂行能力を持った首相の誕生が望まれている。そこでダイヤモンド・オンラインでは、代表選への出馬が報じられる議員たちに取材を申し込み、政策・政権運営ポリシーについて、詳しく聞いてみることにした。

その1人、小沢元環境相は、「ハイクオリティ(上質)国家ニッポン」をキャッチフレーズに、日本の進むべき道について、いち早く具体的な政策提言を打ち出している。小沢氏がもし首相になったら、どんな国づくりを目指すだろうか。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 原英次郎・小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

家族、文化、環境を大事にする
「上質な国家」をつくりたい

おざわ・さきひと/衆議院議員。1954年生まれ。山梨県出身。東京大学卒。銀行勤務を経て、日本新党の結党に参加。1993年、第40回衆議院議員総選挙に出馬し初当選。同党では政策委員会委員長を勤める。94年、新党さきがけに参加。院内副幹事(国会対策副委員長)、政調会長代理を勤める。96年、民主党に参加。次の内閣経済産業大臣、民主党代表室長、国民運動委員長を歴任。08年道路特定財源暫定税率問題対策本部事務局長に就任。政権交代により、09年9月より鳩山内閣、菅内閣で環境大臣を勤め、菅改造内閣の発足と共に退任。現在、衆議院環境委員長、民主党税制改正プロジェクト・チーム座長、政策集団「国家研」会長。

――まずは代表選に当たって、どのような国づくりをしたいか、全体像から教えてください。

 ヨーロッパ型福祉社会を念頭において、日本のよさも加味した国を目指したいですね。日本は成熟した民主主義国家ですが、機会さえ与えられれば何をしてもよいという意識ではなく、もう少し生活の質、家族、文化、環境を大事にする国にしていきたいです。

 経済活動も、ただ単に短期的に利益を上げられればよいということではなく、中長期的な視点を持ち、もう少しルールを重視した穏やかな自由主義社会にしていくべき。もちろん競争も必要ですが、けたぐりをしてでも勝たなくてはいけないという考え方ではいけない。一言で言えば、「上質な国家」を目指したいということです。

――世界経済を再び景気後退の懸念が包み込んでいます。とりわけ、史上空前の円高やデフレの長期化により、日本経済の見通しは不透明です。どうしたらよいでしょうか。