「台湾の駅弁はうまい」という話を聞いたので、先日台湾・台北市に行った際、同市最大のターミナル駅である台北駅に行ってみた。
そこで有名な「台鉄弁当本舗」で「八角排骨弁当」を買ってみた。白いご飯の上に、キャベツ、漬物、味付け卵が載っていて、さらにその上に大きな排骨(骨付きばら肉)が置かれている。排骨のタレの味も良く、極めて満足度が高い。これで80台湾ドル(約276円)は安く感じられる。
その日は日曜日だったが、不思議な光景を目にした。駅中央部の1階は広大なホールとなっているのだが、そこに膨大な数の人々が、所狭しと座っている(写真)。列車の切符の発売を待っているのかと思ったら、そうではなかった。
互いにお茶や弁当、果物を持ち寄って何やら楽しげに談笑している。頭にイスラムのスカーフ(ヒジャーブ)を巻いている女性も多い。その人々はインドネシアなどからの出稼ぎ労働者なのだった。
台湾は共働き夫婦が多いので、高齢者の介護や幼児の面倒、家事全般を請け負う外国人労働者が多いのである。2001年時点ではそういった社会福祉分野で働く移民は11万人だったが、14年は22万人へと倍増している。
そのうち最も多いのがインドネシア人の17.5万人で、次いでフィリピン人の2.5万人、ベトナム人の2万人となっている。
休日は同郷の友人とおしゃべりをしてリラックスしたいという気持ちは理解できる。しかし、住み込みで働いている人が大半なので、家に友人は呼べず、かといってレストランは金が掛かる。そこで、台北駅に集まり、床に座って食事やゲームをする。見ていると、彼らは帰る際はゴミを残さず、きれいに片付けている。